徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2017. 01. 01 (日)】 author : スポンサードリンク
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『元禄忠臣蔵』−「御浜御殿綱豊卿」−三月大歌舞伎の感想(その二)
昼の部では、この「御浜御殿綱豊卿」がもっとも傑出している。実は約二年前の平成十九年六月に今回とほぼ同じ配役で上演されている。その時も高い水準の舞台だったが、この演目は単独でしばしば上演される人気狂言であるうえ、綱豊卿を当たり役にしている仁左衛門である。今回はとりわけその緩急自在な台詞回しと、自らを韜晦して遊蕩している貴公子の色気、そしてきっぱりと自らの考えを諭す幕切れなどその魅力が横溢していて、決定版ともいうべき出来である。

この殿様は実は後の六代目将軍家宣。遊蕩は現将軍綱吉の嫉妬を買わないための擬態なのであるが、最初の出の部分はそれを感じさせる遊び振りである。この綱豊を通して内蔵助の遊蕩を見せ、それが実は本心ではないということを暗示しているのが作者の工夫であり、この演目が面白い理由であろう。

綱豊卿は、その後の学問の師である新井白石(勘解由)に浅野家再興を願うことが武士道にとってよいことかどうか問う。富十郎の白石はいつもに比べると声に張りがないように思われたが、貫目は十分である。ここでは仁左衛門は浅野家浪士たちに仇を討たせたいとの自分の本心を披瀝する誠実さがある。

次の場面は寵愛するお喜世の方の兄となっている富森助右衛門が御浜御殿に吉良上野介が来ることを聞いて、その顔を確かめようと、お遊び拝見を願い出ているのを綱豊卿は呼び出して、仇討ちの本心を知ろうとする。染五郎の助右衛門との丁々発止の腹の探り合いが見所である。前回の上演時には染五郎は咽喉を痛めていることもあって、残念ながら仁左衛門に完全に位負けしていたが、今回は一歩も引かない熱演、二人の応酬は緊迫したものになっていたのは染五郎に成長であり、立派であった。これでもう少し口跡がよかったら申し分ないのだが、まだ幾分聞き苦しい部分があった。

秀太郎の祐筆江島、萬次郎の浦尾、芝雀のお喜世は、ともに申し分ない安定した出来である。秀太郎が前回以上に江島の存在感を出していた。

【2009. 03. 18 (水)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(4) | trackbacks(1) |
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この記事に関するコメント
六条亭さま
82歳の叔母が、「今月の歌舞伎座は良かったわ〜。」と感激していました。また、「團十郎が痩せたわ。」と心配そうでした。来週あたりは国立に、松緑さんの応援に行くのでしょう。(笑)
| まるこ | 2009/03/19 8:00 AM |
> まるこ さま

今月の歌舞伎座は、忠臣蔵ものということもあってか、男性の観客の方々も多く、しかも良かった〜、という声が多いですね。

叔母様は松緑さんを応援に国立も行かれるのですね。お元気で何よりです。
| 六条亭 | 2009/03/19 10:04 PM |
「御浜御殿綱豊卿」の記事もさきほどアップしました。今月の6作品による通し上演の中でこの演目だけに明るい場面があって、仁左衛門という華がある役者に綱豊卿というのがまた絶妙ですね。通しの中でもこの演目が大きな役割を果たすことがよくわかりました。
そして「仮名手本忠臣蔵」の通し上演の時に買ったのにこれまでツンドクだった丸谷才一の『忠臣蔵とは何か』を今月公演にあわせて読んで赤穂事件についても「仮名手本〜」についてもいろいろと参考になり、この演目でも綱吉と綱豊の対比という視点でも観ることができました。
また綱豊卿を描きながら内蔵助を浮かび上がらせる真山青果の作品の奥行きの深さもあらためて味わうことができました。
歌舞伎座さよなら公演ということでしばらく出していない「元禄忠臣蔵」をかけたのは私はよかったと思います。3人の内蔵助が揃った夜の部も千穐楽で堪能してきました。
続けて感想アップを頑張ります(^O^)/
| ぴかちゅう | 2009/03/28 1:19 AM |
> ぴかちゅう さま

いま仁左衛門さんほどこの綱豊卿の華と色気を感じさせる役者はいませんね。染五郎さんとの腹の探り合いも余裕たっぷりでした。

また富十郎さんの新井勘解由との対話に本心が披瀝されていて、綱豊の人間としての大きさを感じさせました。

はじめさよなら公演の演目としては地味と思った通し上演でしたが、熱気溢れる舞台の決定版で、当分この「御浜御殿綱豊卿」は封印したいですね。

TBをうちました。
| 六条亭 | 2009/03/29 12:21 AM |
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09/03/20 歌舞伎座の元禄忠臣蔵?「御浜御殿綱豊卿」
{/face_heart/} 今月昼の部の眼目はなんといっても仁左衛門の綱豊卿だ!前回はなんと2回も観てしまっている(^^ゞ 玲小姐さんと並んで心をウキウキさせながら、しっかり観る!! {/hiyob_en/} 【元禄忠臣蔵「御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)」】 あらすじは
| ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記 | 2009/03/29 12:35 AM |
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