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評価:
宮部 みゆき
中央公論新社
¥ 1,890
(2010-07)
Amazonランキング:
77位
Amazonおすすめ度:
おちかを応援する様々なキャラクターが登場
これぞ宮部みゆき!
至福の時
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宮部みゆきがまたまた大ヒットを飛ばした。『おそろし 三島屋変調百物語事始』の続編、『あんじゅう−三島屋変調百物語事続』である。袋物の店三島屋に引き取られた女主人公おちかは、ある不幸な事件で傷ついていて、おちかの傷を癒すために叔父の伊兵衛は、同じような不幸な過去を持った人間たちを三島屋の黒白の間に呼んで、おちか一人に不思議な事件を語らせるという設定は変わらない。
今回の四篇は、まさに可愛くて、奇妙で、切なくて、ちょっと怖い話である。しかし、前作以上に登場人物が増えて、お勝、新太という奉公人、そしてこれこそが宮部みゆきの独擅場であるいたずら坊主三人組、さらには青野利一郎なる塾の先生(おちかの恋の相手になりそうな雰囲気もある)、偽坊主の怪僧行然などが躍動しているから、堪らない。新聞連載時の好評だったという南伸坊の可愛いキャラクターのイラストも本文を妨げないように工夫され、多数収録されているのも嬉しい。詳しくレビューを書くよりも、とにかく読んで欲しい、と言いたい。きっと百物語の世界にたっぷりと浸ることが出来るであろう。そして、心温まり、癒されるであろう。
『あんじゅう−三島屋変調百物語事続』特設サイト
なお、前作『おそろし 三島屋変調百物語事始』のレビューは、
こちら。