今日の新聞報道で、終戦後加藤周一、中村真一郎とともに新しい詩作を目指すグループ「マチネ・ポエティク」運動を展開して、新感覚の作家として活躍した福永武彦の終戦後の日記があらたに見つかったという記事があった。子息である作家の池澤夏樹が発表し、今月発売の
雑誌『新潮』10月号にその一部が掲載される。
福永武彦の終戦直後の日記見つかる 文学へ強い意欲(asahi.com記事)
私は『草の花』『忘却の河』『海市』などで福永武彦の作品に親しんだが、なんといっても全体小説的な大きさをもつ『死の島』には圧倒されて読み耽ったことを思い出す。なお、氏が加田伶太郎名義で推理小説を、船田学名義でSF小説にも手を染めた。加田伶太郎全集としてまとめられた推理小説はとても余技とは思えない出来栄えであった。