徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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映画『蝉しぐれ』を観る
藤沢周平原作の映画化を唯一許されていた黒土三男の脚本・監督による染五郎主演の映画『蝉しぐれ』をようやくDVDで観る事ができた。原作は藤沢周平の代表作とも言える作品で、海坂藩ものであることは他の作品と同じでも、逆境に負けず懸命に生きる主人公牧文四郎の青春と恋を中心にした成長の物語が清々しい感動を呼ぶ。

この映画は四季折々の自然を美しく見せながら、文四郎とふくの淡い恋物語と父の悲惨な死を描く前半が原作にかなり忠実で秀逸である。文四郎とふくを演じた新人の石田卓也、佐津川愛美がとても初々しく、また瑞々しい。お家騒動に巻き込まれて切腹させられた父の遺骸一人で引き取り、大八車で運ぶところは、勾配が急な坂道を登りきれずに難渋している時にふくが駆けつけて、後を押すところは涙なくしては見ることが出来ない。

ふくが江戸に去ってからの文四郎は苦難連続だったが、剣の鍛錬乗り切る。やがて旧禄への復帰とともに、殿様の愛妾となって子をなしたふくをめぐる危難にいやおうなく巻き込まれる。青年になってからは染五郎が演じている。前半の少年時代が丁寧に描かれている分、後半の文四郎の成長ぶりがやや駆け足になっていて、そのままふくの救出劇と激しい殺陣のシーンに進んでいるのは惜しい。

無事騒動が決着して、仏門のはいるふくと文四郎の別離が哀切である。木村佳乃のふくの、自分の本当に好きだったのは文四郎だったことをさりげなく、それでいて心の底から吐露している姿は、清冽な美しさである。染五郎は主人公にはぴったりのはまり役であるが、文四郎を思う存分演じるのはいささか出番が足りなかった思う。しかし、全体としては藤沢周平作品の雰囲気をよく伝えた心洗われる時代劇であった。
【2006. 10. 29 (日)】 author : 六条亭
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