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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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宮尾登美子『藏』(上下)を読む
評価:
宮尾 登美子
角川書店
---
(1998-01)
Amazonランキング: 304326位
Amazonおすすめ度:
宮尾登美子は、いわば芸道ものとでも称されるようにひとつのことに自分の全生涯を賭ける人間に魅了されて、『一弦の琴』や『序の舞』、そして『きのね』などの作品を書いている。この『藏』もその系列に連なる大変素晴らしい傑作である。作者にしては珍しくこれといったモデルはなく、日本独自の酒造りの魅力を目が不自由でありながらも、蔵元として逞しく生きた女性を主人公にしている。

酒どころ新潟の大地主で酒造りの蔵元の娘に生まれた烈は、兄や姉が何人も夭折したたため大事に育てられるが、不幸にも鳥目となり、やがて全盲となってしまう。一人娘であり、母が病弱であるため母の妹佐穂が乳母のようにして育ててくれるが、かえって我が儘で気性の激しい子供時代を送る。

しかし、美しい少女に成長し、分別も付いた烈は、母、祖母、そして腹違いの弟の事故死で父が酒造りの意欲を無くした時に、ご先祖さまに申し訳がたたないようなことはできない、と自分が酒造りを続けることを強く望み、やがて父もそれに協力するようになった。そして、藏人との恋にかける激しい情熱は、やがて結婚、跡継ぎの男子誕生と蔵元を存続させるまでになったが、病を得て46歳で早世する。

女主人公の名前通りの苛烈なまでの生き方は、越後の自然風土を背景にして、会話を地元の方言で通しているので、さらに読むものに強烈な印象を与える。烈を支える叔母佐穂の控えめながらも一本芯の通った生き方、そして父意造の家父長としての悩み・苦しみなど、いずれも共感できる人物たちが織り成す宮尾文学の世界は、一つの浄瑠璃を聞いているがごとく、深く魅力的なものである。

JUGEMテーマ:読書
【2008. 04. 25 (金)】 author : 六条亭
| 読書 | comments(2) | trackbacks(0) |
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この記事に関するコメント
六条亭 さま

今日は千穐楽ですね。
東京に住んでいれば行きましたのに・・・・

「蔵」の映画を撮影した酒蔵は、新潟県の酒蔵です。
美味しいお酒があります。^^
4年前の地震で相当な被害を受けましたが、現在はお商売を続けていらっしゃいます。

宮尾登美子さんの作品は、美しく激しく凛としています。

| まるこ | 2008/04/26 3:49 PM |
> まるこ さま

四月大歌舞伎千穐楽は、残念ながら昼の部は都合で観られませんでしたが、夜の部は観劇出来ました。三演目とも楽日らしい熱気と盛り上がった舞台でしたよ。
でもやはり夜は『勧進帳』が一押しですね。仁左衛門さんの弁慶の義経を守り通そうとする気迫と大きさ、勘三郎さんの富樫の情の篤さ、そして悲劇の武将としての凛とした気品と愁いにあふれた玉三郎さんの義経、と三人の息のよくあった素晴らしい『勧進帳』でした。

『蔵』は、まるこさまの地元近くが舞台ですね。なるほど映画撮影に使われた蔵元もあるのですね。

宮尾作品は、ご指摘のように激しいなかにも清洌な感動をもたらします。
| 六条亭 | 2008/04/27 1:39 AM |
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