徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
<< 『オリエンタル・ナイト』−ヴァルトビューネ2006を視聴する | main | リヒテル、ロンドン・ライブのDVDの発売予定 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
| - | - | - |
藤沢周平『海坂藩大全』(上下)を読む
作者の生まれ故郷山形県鶴岡をモデルにしたと言われる架空の藩、「海坂藩」。多くの藤沢作品の舞台となった海坂藩が登場する短編すべてを収録した本書はファンにはたまらなく嬉しいものである。

海坂は私が小説の中でよく使う架空の藩の名前である。……海辺に立って一望の海を眺めると、水平線はゆるやかな弧を描く。そのあるかなきかのゆるやかな傾斜弧を海坂と呼ぶと聞いた記憶がある。うつくしい言葉である。(『小説の周辺』より)


『海坂藩大全』(上)

『海坂藩大全』(下)

しかし、意外なことに海坂ものの執筆頻度は高くないという。だから、ここに収録されているのは二十一の短編である。読者にとってはもっと多いはずとの印象があるが、それは長編(短編連作を含む)が、『用心棒四部作』、『蝉しぐれ』、『三屋清左衛門残日録』、『隠し剣孤影抄』『隠し剣秋風抄』、『秘太刀馬の骨』の代表作九編が海坂ものであるからだろう。

しかも、海坂ものと判定する基準が、
(1)海坂藩、海坂と明記してある。
(2)五間川が流れている。
(3)色町として染川町がある。
の三条件とこの本の編者は厳密に定義した。したがって、いかにも海坂ものの雰囲気濃厚な作品も多く除外されている。もちろん、藤沢作品を通底する下級武士や部屋住みの武士たちが主役で、陰謀や争いごとに巻き込まれる話であるが、けなげで凛とした魅力のある女性たちも主人公になっているのが目をひく。

上巻には直木賞受賞作の『暗殺の年輪』や『潮田又五郎置文』など出世作が中心であるから、まだ暗い情念を秘めた作品が前半にあり、次にどこかそこはかとない苦いユーモアを漂わせた『遠方より来る』、派手な夫婦喧嘩ばかりしている初老の夫婦のところへ記憶をなくした美しい娘が迷い込んでくる、哀歓溢れる『小鶴』など十篇が収められている。

下巻は、『泣くな、けい』、『山桜』、『花のあと−以登女お物語』など女主人公たちの作品が胸を打つ。『山桜』は、今回映画化されている。

映画『山桜』公式サイト

JUGEMテーマ:読書
【2008. 05. 26 (月)】 author : 六条亭
| 読書 | comments(2) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
| - | - | - |
この記事に関するコメント
六条亭さま

「秘太刀馬の骨」は面白かったです。
昔、奈良に「馬の骨」という骨董屋さんがあると聞いた様な気がします。
それで、漠然といつかこの骨董屋さんに行きたいと思っていました。
この題名を見たとき、あれ?と思いましたが、骨董屋さんの話ではありませんでした。(笑)
藤沢周平さんのものは、いい生き方をしている人がたくさんいて、こちらも何となく背筋が伸びます。
| まるこ | 2008/05/27 12:21 AM |
> まるこ さま

『秘太刀馬の骨』は、タイトルからして興味をそそる作品ですが、骨董屋さんとは面白い連想ですね。

この連作もこの馬の骨という秘太刀の遣い手を捜す話なのですが、最後はあっと驚く仕掛けがありますね。

藤沢作品はどれを読んでも、どちらかといえば下層の武士や町民が真摯に生きていて、まるでわがことのように感動しますね。
| 六条亭 | 2008/05/27 10:05 PM |
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック
FLASH時計



PageRank Powered by SEO Stats





  和樂 毎月12日発売

BlogPeople

BlogPeople検索


歌舞伎ブログ にほんブログ村 演劇ブログ 歌舞伎へ

qrcode