徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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年末のご挨拶
携帯からですが、一言年末のご挨拶を。
この一年間、本HP並びにこのブログをご愛顧賜り、有難うございましたm(__)m。とりわけ七月より始めましたこのブログが、驚くほど多くの方々にご覧いただき、かつたくさんのコメント&TBをお寄せいただいたことは、望外の喜びでした。また、BlogPeopleや歌舞伎系Blogsアンテナを通じまして、交流が広がったことも有難く、更新の励みとなりました。年明けからの新しい仕事に慣れるまで少しペースは落ちるかもしれませんが、引き続きよろしくお願いいたします。それでは良いお歳をお迎え下さい。
【2005. 12. 31 (土)】 author : 六条亭
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仕事納め、そして…
昨28日で仕事納めをした職場が多かったのか、今朝の通勤電車は驚くほどガラガラ。お蔭でゆったりとした気分で出勤。雑務の片付けをして、途中中断期間はあったが、約9ヶ月近くお世話になった事務所の皆さまに挨拶をして、早々と引き上げる。

実は年末に近づいてから、ばたばたと新しい仕事先が決まり、年明けから勤務することになった。今度の職場は東京ではないが、自宅からの通勤時間は短くなるので、余裕を持って早めに出勤できそうである。新しい仕事は、今までの経験ではこなせない未知の部分も多いが、あまり焦らず、力まず自然体で、仕事に慣れて行こうと思っている。

ただ、仕事量は多そうで、当面はきつかもしれないし、何よりの一番の問題は会社帰りに、歌舞伎座に幕見に通えないことである(笑)。まあその分、土日の観劇で、仕事の疲れを癒したいものである。
【2005. 12. 29 (木)】 author : 六条亭
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『重の井』『船辨慶』『松浦の太鼓』再見の感想−十二月大歌舞伎夜の部
夜の部は、25日と26日楽日の二日間連続で観劇した。ただし、『重の井』は都合により25日観劇のみであることをお断りしたい。

『重の井』

これは残念ながら、前回とあまり変わっていた印象は受けなかった。観る人によって異論はあるだろうが、私にはやはり福助の重の井が大名の息女の乳人という片はずしの存在感と重みに不足していると感じられたためかもしれない。だから、忠義と実の子への情愛に引き裂かれながらも、忠義を取らざるをえなかった心のひだが十分納得できない憾みが残った。

三吉役はもっと年少の子役が演じているのを見慣れている目から観ると、児太郎の三吉は、もう少し変わっていてもよい年齢であろうが、十分頑張っていた。

『船辨慶』

今回この演目がはじめの頃よりももっとも劇的に変わっていたと思う。ぐっと中身がつまって凝縮し、崇高な感すら覚えた舞台だった。それは何故かと考えてみると、静と知盛の霊の対比がメリハリが利いて、よりくっきりとしていたためであろうか。それは知盛の霊の登場時の台詞「これはかぁ〜んむ天皇の」の口跡の凄みと鮮やかさを一つ例に挙げてもよいであろうが、立女形が演じる異形の者と呼ぶに相応しい異界の禍々しさを感じて、戦慄すら覚えた。長刀を縦横無尽に振りながら、摺り足を使って波の上を漂うようにして何度も義経一行に襲い掛かりながら、弁慶の法力によって、無念を呑んで波間に消えて行くまではあっという間であった。

それゆえ、前ジテの静の別れの舞いも、その哀しみがより強く感じられた。静が烏帽子をぽとりと落として残し、花道をしずしずと引っ込み、そして吹かれるお囃子の笛には哀切感がさらに増していたと思う。勘三郎の船頭も、本人の色をかなり消して来ていて、玉三郎の目指している能を素材にした新しい舞踊の世界に同化してきたように感じられた。

それにしても、この杵勝三伝の内と言われる杵屋勝三郎作曲のこの曲は、本当に名曲だと思う。このような曲が今まで埋もれていたとは信じられない素晴らしさで、お囃子ともども十二分に堪能した。通常版とは別の舞踊と言ってもいいから、この舞踊復活の意義は大きい。

『松浦の太鼓』

勘三郎の松浦候が、父の十七代目の型をなぞっていたようなはじめの頃に比べると、自分の個性を強く発揮し出しており、それが良い方に変わって来ていた。愛嬌は言うまでも無いが、赤穂浪士の吉良邸討ち入りを楽しみにしている我儘な、そして少し好色なお殿様振りが板について来ていた。だから、大高源吾の妹お縫に暇を出したものが、宝井其角の「年の瀬や水の流れと人の身は」に対する付句「明日待たるるその宝船」が今晩の討ち入りを示していると気が付いてからのはじけたような喜びには十分共感できた。

弥十郎の飄々とした其角、勘太郎の清潔感溢れるお縫、そして橋之助の煤竹売りから討ち入りの義士としての颯爽とした変身、亀蔵をはじめとする近習五人組みなど共演者も充実していて、師走狂言らしい楽しさで一杯の舞台だった。
【2005. 12. 28 (水)】 author : 六条亭
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歌舞伎俳優尾上松助さん亡くなる
最近体調を崩す歌舞伎役者さんが多いなか、悲しい訃報を聞いた。

尾上松助さん亡くなる(毎日新聞記事)
【追加】朝日新聞記事

昨年から病気療養していたが、この記事にもあるように十一月の新橋演舞場の『児雷也豪傑譚話』で仙素道人で舞台復帰したのが、最後の舞台になったとは!この舞台では車椅子に座ったままの演技で、台詞もマイクを使っていたが、楽日では声にも張りがあり、これからの本格的な復活を期待していただけに残念でならない。

二代目尾上松緑に教えを受けて、歌舞伎の貴重な脇役として、幅広い役をこなしていたが、私の年代では人気漫画『赤胴鈴之助』のドラマの主役として吉永小百合と出演していた放送を毎回ワクワクしていたことが忘れられない。もっとも、後年になるまで、その時の名子役と松助さんがなかなか結びつかなかったが。

今でも、昨年の海老蔵襲名披露狂言『助六由縁江戸桜』での元気な松助さんの洒脱な通人振りが目に焼きついて離れない。謹んで哀悼の意を表して、心からご冥福をお祈りしたい。
【2005. 12. 27 (火)】 author : 六条亭
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十二月大歌舞伎昼の部再見の簡単な感想
昨日は十二月大歌舞伎の二回目の昼夜通し観劇。最初に観たのが三日夜と四日昼であったが、全体としてはどの演目もかなり引き締まって来ているうえ、役者も演じ方に工夫を凝らしたり、手を加えたりしていて、かなり見応えがあった。このような進化・変貌を実際に目の当たりにすると、いつも思うのであるが、初日が開いてからかなり早い時期に、まだ役を作り上げている途上の舞台を観て、劇評家にあれこれと評される役者の側はたまったものではないだろうな、と思う。千穐楽とまでは言わないまでも、劇評家の方には是非後半の舞台を再見して、劇評の検証をしてもらいたいものである。

さて、夜の部の感想は今日の千穐楽を終えてからとして、昼の部で目に付いたことを前回の補足して簡単に書いておく。

『弁慶上使』

夜の部『重の井』とこれは同じような親子の情愛を描いていて、どちらも主役を演じている福助にとっては、家の藝を継承するためとはいえ、演目的にやや損な印象を受けるが、この二つを比べると、格段にこのおわさがいい。

生涯に一度しか契らなかったという弁慶と契って娘しのぶを産んだおわさが、娘の仕える卿の君のところへ来てその成長振りに目を細めていると、侍従太郎が弁慶が義経の使いとして、鎌倉の疑いを晴らすため、平家一門の娘の卿の君の首を差し出すように来ていること、そしておわさを身替りにすることを告げる。驚いたおわさは、十八年前の一度の契りを語る。福助は久し振りに会った娘を見る仕草がまことに情愛溢れていて、次の伏線になっている。身替りの話に一度きりの名も知らぬ稚児との契りを娘時代に帰って義太夫の糸に乗り綿々と演じるのも見所である。しかし、弁慶が奥から襖越しに娘を刺し、姿を現す。そして、弁慶こそ自分の相手だったと分かってから、急に長年の思い人に会えた喜びを恥ずかしげに体一杯を使って表すが、その喜びも束の間娘の屍骸に気付き現実に引き戻されて悲しみにくれる。この喜びと悲しみの間に揺れる女心の振幅がくっきりとしていて、見応えがあった。

対する橋之助の弁慶は、ますます豪快に大きくなっており、ゆえになおさら忠義のためにはじめて見た、しかも名乗りもせずに我が娘を手にかけた親の悲しみが、有名な大泣きで切々と観る者にも伝わって来る。新悟のしのぶもかなり娘らしい柔らかさが出てきていた。

『猩々・三社祭』

これは勘太郎・七之助の踊りの腕の差があまり感じられなく来ていた。猩々の酒を飲んでからのほろ酔いの舞いも軽やかである。一転して、三社祭はきびきびとした生きの良さは相変わらずで、心地よかった。

『盲目物語』

谷崎潤一郎の原作の雰囲気は、按摩弥市のお市の方を思う一途な気持ちによく出ていると思うが、再見では弥市の三味線とお市の方の筝との合奏の場面が強く印象に残った。とくに大詰めの落ちぶれた勘三郎の弥市の爪弾く三味線に、背景に浮かび上がった玉三郎のお市の方の霊が筝をあわせるのは、何度見ても詩情溢れていて、心に残る美しい幕切れであると思う。
【2005. 12. 26 (月)】 author : 六条亭
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歌舞伎観劇納め、そしてお正月の観劇予定
明日25日の歌舞伎座昼夜通し観劇で、今年の歌舞伎観劇は終りのはずだったが、チケットWeb松竹で26日千穐楽夜の部の三階席の戻りを見付けて手に入れたため、楽日夜の部で本当に今年の歌舞伎観劇納めをすることになった(^_^;)。あわせて、お正月の歌舞伎観劇予定もUPしておく。

・12月25日(日) 十二月大歌舞伎昼夜通し
・12月26日(月) 十二月大歌舞伎千秋楽夜の部
・ 1月 4日(水) 国立劇場 「通し狂言 曽我梅菊念力弦」
・ 1月14日(土) 新春浅草歌舞伎第二部

藤十郎襲名の歌舞伎座の予定が入っていないが、これは様子見ということで…(^^ゞ。
【2005. 12. 24 (土)】 author : 六条亭
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丸谷才一対談集『おっとりと論じよう』を読む
新刊が出るたびに読んでいる丸谷才一のエセーや対談集、今回は『おっとりと論じよう』(文藝春秋)である。日本の文学・歴史・言葉について、井上ひさしや山崎正和などお馴染みのメンバーと談論風発で、いつに変わらぬ面白く、また新しい発見に満ちた内容である。ただ、今回の異色の対談者に、中村勘三郎がいることであろう(もう一人は、関容子氏)。

日本俳優協会のHPの新着図書で紹介されていたのは、この「花やかな襲名披露興行を寿いで─新しい勘三郎の時代」があったためで、これのみ雑誌『東京人』(2005年8月号)に掲載されたものなので、簡単に紹介しておきたい。

もともと勘九郎時代から付き合いがあって、対談もしている丸谷氏は「電話をもらった時今までの勘九郎です、と違って「中村屋でございます」と言ったのが、貫禄ある言い方で、一回り大きくなって風格が出てきて、襲名というのはやはりいいものだなあと思いました。」とも「役者の襲名がまるで全国的な祝祭みたいになった。こんなこと歌舞伎始まって以来のことでしょうね」とも語る。また「君はまず役者であり、アンサンブルの作り手であり、演出家でプロデューサーで。この四つを見事にやってのける演劇的人間だね。(中略)そういう局面を、今度の三ヶ月間の襲名興行でうまく表現したと思う」と断言する。

勘三郎の問いに答えて、氏は襲名興行のベストスリーに『京鹿子娘道成寺』『盛綱陣屋』に加えて、あえて脇に回ることによって舞台が締まったと『与話情浮名横櫛』の鳶頭金五郎をあげる。この狂言を世間一般に考えるよりも格の高い江戸後期の名作と称揚する氏ならではの見方であろう。ただし、今回も省略された赤間山荘の場は出すべきだという意見は肯ける。

勘三郎が語っていることは方々で喋っていることが多いので、あまり新味はないが、それでも『野田版 研辰の討たれ』のカーテンコール(毎日やれと勧めたのは丸谷氏だそうである)や楽日のハプニングや『籠釣瓶花街酔醒』での今までの演じ方への反乱など、玉三郎からみの話はやはり面白いし、二人は歌舞伎の夢を作って行く同士だとあらためて感じた。

その他の対談のなかにも、折に触れて歌舞伎の話題が出る(例えば、海老蔵襲名時の富樫は、十五代目羽左衛門より素晴らしいのではないか、など)ので、歌舞伎ファンには是非一読をお薦めした本である。


【2005. 12. 22 (木)】 author : 六条亭
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「2005年、あなたが一番好きだった演目は?」のアンケート
本HP「六条亭雑記」で相互リンクしていただいている、

「ご機嫌!歌舞伎ライフ」さま(管理人yukiさま)

では、「2005年、あなたが一番好きだった演目は?」のアンケートを実施中です。拙掲示板(賓客の間)でもお知らせがありましたので、こちらでも下記の通りあらためてご紹介します。歌舞伎系ブロガーの方々も今年観劇された歌舞伎のなかでベストスリーと思われる演目をどしどし投票をお願いいたします。

受付期間:2006年1月20日まで
投票方法:メール または掲示板への書き込み

投票していただく際は
1.演目名
2.劇場名(または場所)
3.上演月(お分かりにならない場合は結構です)
4.主演した役者さんの名前
などをできるだけで結構ですのでお書きいただきください。

ベスト3まで受付ております。


詳細はこちらでもご覧になれます。

どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m。
【2005. 12. 21 (水)】 author : 六条亭
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二月の演目お染久松 『浮塒鷗』(うきねのともどり)
17日に発表された歌舞伎座二月の演目中、昼の部のお染久松 『浮塒鷗』(うきねのともどり)が、あまり馴染みのない演目のようであるが、HineMosNotariさまのブログでも話題にでたので、こちらで少し補足。

これは清元の舞踊劇で、有名なお染久松の道行である。舞台は向島三囲神社の鳥居前。お染が恋のなれそめから長いくどきの踊りを見せる。その間久松はじっとうつむいているので、どちらかと言うとお染の見せ場が多い舞踊である。今回お染を菊之助、久松を橋之助が踊る今までにない新鮮な組み合わせである。

そこへ猿廻しが出てきて、浮名を流しているお染久松と気付き、四つ竹を打ちながら、それとなく意見をする踊りを見せる。実質的な主役はこの猿廻しと言えるようで、今回は女猿曳として芝翫が演じる。

しかし、今まで気が付かなかったが、そう言えば歌舞伎の舞台ではあまり見た記憶が無く、さちぎくさまのご指摘のとおり、日本舞踊の会で小さい子供がよく踊っていた舞踊である。しかも、猿廻しもどんなものか最近はだんだん分からなくなって来ている。言わば大道芸人であるが、このような扮装↓で、背中に子猿を背負っている。

猿廻し 変色している○十年前の年代物の写真であるが、もう時効だろから、ご参考までに(笑)。
【2005. 12. 20 (火)】 author : 六条亭
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ようやく読み終えた高村薫『新リア王』
前回格闘中と書いた高村薫『新リア王』をようやく読了した。読む時はかなり集中していたので、読み終わったときには「あ〜、疲れた」と思うと同時に、久し振りに超重量級の長編を読んだ充実感で一杯だったのも事実である。

保守王国青森の国会議員福澤榮は、金集めは下手で派閥の長にはなれないが、地元のために補助金や交付金を分捕ってくることが政治家として役目と心得て、親から受け継いだ地盤を四十年も守って、地元ではまさに王のように振舞っている。1986年9月11日の臨時国会開会日の榮を中心にした永田町と国会のざわざわとした一秒を争うような慌しい動きは、読む者もその場にいるような臨場感を肌で感じる。しかし、その前から萌芽がきざしていた榮に対する身内と周辺の造反が、青森知事選の候補者選定をめぐって、この日に顕在化してきて、ついに榮はまさにリア王よろしく裏切られて、国会の会期中抜け出して、雪深い草庵にいる婚外子の禅僧彰之をふいに訪ねて、今まで交わしたことの無いような長い対話を続けて行く。

根っからの55年体制の保守政治家である榮が語る政治の手法は、徐々に時代遅れになって来ていることは本人は気づいていても、天下国家を論ずるのが政治家の仕事と信じている榮は、金のことも金庫番の秘書の役目とあえて手を染めない。それが、知事選への長男の出馬と陣営の分裂となり、検察の取調べが入り秘書も自殺してしまい、榮は傷付く。

他方曹洞宗の禅僧となった彰之も、厳しい修行にもかかわらず、若い時に関係した女性とその間に生まれた男子の非行に悩まされて、いっかな宗教者としての悟りに至っているようではない。その草庵も檀家の減少に閉鎖寸前にまで追い込まれている。しかも、はじめてとも言うべき二人の濃密な会話は、どうみても一方通行でかみ合っていず、政治と宗教の世界はどこまでも交わることがないように思える。しかし、行方をくらました榮のところへかけつけた福澤一族、秘書、新聞記者などを相手に、榮はどこか晴れ晴れと現代のリア王として別れを告げて、まさに未踏の荒野に踏み出す。そして、榮にとってその自分を一番理解しているのが彰之であるとようやく気付いたようである。

前作『晴子情歌』は、大正から昭和にかけての一人の女性の生き様が、北海道や青森の旧家を舞台に、本人の息子彰之宛の何通もの長文の旧かな遣いの手紙で構成されていて、日本人に心の琴線に触れるような繊細な味があったのだが、この続編は一転して骨太の政治と宗教、そして哲学の世界を描いている。しかし、作者の豪腕は、高度成長により変貌して転換期に至った80年代までの日本の社会を中央と地方の関係を軸に克明に描き出しており、あわせて読めばやはり一個の現代史小説とも読めるのである。かって野間宏が試みた全体小説を思わせるが、地方からの視点は、もっと地に足が着いているような感じがする。恐らく作者は主人公と同じく、日本の小説家で今まで誰も踏み出したことのない不毛の地にいるのではないだろうか。そして、それは実り多い豊穣さを予感させる。

作中他の作品でお馴染みの合田刑事がちらっと姿を見せる。作者は三部作として続編も構想しているようで、今度は合田刑事もまた異なった姿で現れるのだろうか?まだ先であろうが、続編を期待したい。
【2005. 12. 19 (月)】 author : 六条亭
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