毎年6月に開催されるベルリン・フィル恒例のヴァルトビューネの野外音楽会2005年が3月にBS2で放送されたのを見逃していたので、大変残念に思っていたところ、幸いにも先日16日(日)のNHK教育テレビで放送された。題して「フレンチナイト」。もう国際的なオーケストラになっているベルリン・フィルだから別に驚くことではないけれども、大分以前に同じ題名でプレートルが指揮したヴァルトビューネの映像があって、さすがにフランス人指揮者がドイツのオーケストラを指揮しても、フランス音楽の粋が見事に音になっていたように覚えている。今回は音楽監督のラトル指揮だから、イギリス人指揮者がどのような演奏をしてくれるか?期待十分であった。録画していたものをようやく視聴した。
曲目は次の通り。
(1)ベルリオーズ『ローマの謝肉祭』
(2)ドビュッシー『牧神の午後への前奏曲』
(3)デュカス『魔法使いの弟子』
(4)プーランク『二台のピアノと管弦楽のための協奏曲』
(5)サンサーンス『動物の謝肉祭』
(6)ラヴェル『ボレロ』
アンコール曲目
ラヴェル『ダフニスとクロエ』第2組曲から全員の踊り
リンケ『ドイツの風』
これは構成からして、フランス音楽の有名曲がずらりと並んでいて、壮観である。溌剌としたベルリオーズ、パユのフルート・ソロが魅惑的な『牧神の午後への前奏曲』、そして、メリハリの利いたデュカス。しかし、この日の主役はラベック姉妹であった。美人ピアニスト姉妹である二人は、最近レコーディングもなく、その演奏活動はあまり聞こえてこなかったが、プーランクの珍しい協奏曲と有名なサンサーンスの二曲で、十二分に観客を沸かせた。さすがに容色の衰え(?)はあるものの、オーケストラとともに楽しみながら、技巧の限りを尽くした音楽を聞かせてくれた。
ラヴェルの『ボレロ』は、締めにちょうど良い音楽で、とても盛り上がった。もう1曲ラヴェルのアンコールの後、恒例の『ドイツの風』では、ラトルはもう指揮をせず、大太鼓を叩いて、観客と団員たちと一体となって、この音楽会を楽しんでいた。相変わらず、野外音楽会の全体を映し出した映像が美しい。