徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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團菊祭五月大歌舞伎夜の部の感想
遅くなったが、今度は團菊祭夜の部の感想。

『傾城反魂香』

この通称吃又はよく上演されるが、今回は三津五郎と時蔵のコンビによる又平・おとくである。はじめ三津五郎の又平に精気が感じられず、前半は時蔵のおとくが、夫思いで情のあるまことに甲斐甲斐しい世話女房振りで光っていた。

しかし、後半になって、死を決意しての一念で書いた石の手水鉢の絵が反対側に通り抜ける奇蹟を起こることで、師匠より土佐の名前を許される。その時の又平の驚きと大きな喜び!ここからの三津五郎の生き生きとした演技を見ると、前半の演技は吃り対する劣等感ゆえに、意図して抑制したものであり、後半部分との陰影をよりくっきりとさせるためであることが分かる。時蔵のうつ鼓にあわせての踊りには、歓喜とそして誇らしさがよく出ている。

彦三郎、秀調とも脇に徹して神妙である。梅枝の凛とした気品も今後の舞台出演に期待が高まる。

『保名』・『藤娘』

菊之助が保名を、海老蔵が藤娘をどちらも初役で踊る、と最初発表があった時、逆ではないかと驚いたものである。よく考えてみると、立役と女形を兼ねる菊之助であれば、保名を踊ることは何ら不思議ではない。しかし、海老蔵は二年前の襲名披露で鏡獅子を踊った時、前半の弥生がどうしても男の部分が見え隠れして固く、立役の女形舞踊としての限界を感じさせた。だから、今回の藤娘も同じような感想をいろいろ見聞きして、正直のところあまり期待していなかったのが事実である。

ところが所見の日は、全体としてまだ余裕があるとまでは感じなかったが、言われていたような男っぽさは微塵もなく、非常に初々しく可愛らしい娘になっていた。化粧も美しく、背景の藤の大木の作りもあって体の大きさも目立たない。女形は後姿が一番難しいと言われるが、肩甲骨をぎゅっとすぼめて、綺麗な姿に決まっていた。所作も一部ぎこちないところがあるけれども、藤音頭のところも情緒豊かで、見応えがあった。これで表情がもう少しにこやかであれば、言うことはない。

保名を書くのが逆になってしまった。菊之助の踊りは丁寧で、綺麗である。ただ、この幻想舞踊にはある程度の年輪が必要で、まだ若い菊之助には手に余る部分があると思った。


『黒手組曲輪達引』

歌舞伎十八番の『助六』のパロディ。しかし、どちらかと言うと、菊五郎二役のうち、番頭権九郎が目一杯お遊びに徹しており、大いに笑わせる。まず顔の作りからして昔テレビのデン助劇場で人気のあったデン助こと大宮敏光そっくり。こんな男と一緒に吉原の新造である白玉(菊之助)が危険をおかして廓を抜けて駆け落ちする訳がないと思ったら、案の定ヒモの伝次(海老蔵)が裏で糸を引いていて、五十両の金を奪われて、権九郎は不忍池へドボンと落される。二人は追っ手がかかり、別れ別れになる。

その後、突然歌舞伎座に響き渡るR・シュトラウス作曲『ツァラトゥストラはかく語りき』の冒頭の音楽(余談:キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』であまりにも強烈な印象を与えた音楽でもある)とともに、着ぐるみの矢鴨姿で、菊五郎が再登場。暑い!と着ぐるみから上半身を出して、黒御簾が『恋のダウンロード』を演奏するなか花道へ。今度は六方を踏んで引っ込むという何とも滅茶苦茶なものであるが、ここまで徹してくれれば面白い。

続いて吉原仲之町と三浦屋前では、一転して颯爽とした花川戸助六が、左團次の鳥居新左衛門とその門弟たちを相手に、繰り広げる男伊達。股くぐりや煙管、下駄など助六の趣向があちらこちらにちりばめられている。しかし、鳥居新左衛門は意休というより御所五郎蔵の星影土右衛門であり、雀右衛門の揚巻も最後に少し出るのみで、華やかさには少々欠けるきらいがある。高齢で止むを得ないとはいえ、雀右衛門には楽日までプロンプターが付いていた。

大詰めは、菊五郎劇団お得意の立回りが、屋根上でスピーディーに展開する。ただ、上演時間の関係かあっという間に終わってしまったのは残念である。
【2006. 05. 31 (水)】 author : 六条亭
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BS2の「こんぴら歌舞伎大芝居」の録画放送
毎年四国の香川県琴平町で開催される

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」

は、昔の芝居小屋金丸座を使い、当時の舞台を彷彿とさせる大変風情たっぷりで、人気のある興行である。四月の風物詩としてすっかりと定着したようで、全国から歌舞伎ファンが押しかけて、人気も高い。一度是非観劇に訪れたい場所である。

今年は第二十二回目の開催となり、三津五郎が座頭格となり、海老蔵、亀治郎などが共演して、ひときわ華やかだったようである。出し物も、忠臣蔵の五・六段目(これは今年のブーム!)、南北の『浮世柄比翼稲妻』、そして舞踊『浅妻船・まかしょ』(三津五郎)、『かさね』(海老蔵、亀治郎)と変化に富んだもの。幸い、一昨日27日にBS2で忠臣蔵を除く全てが放送されたので、お茶の間でも居ながらにして、金丸座の芝居興行の雰囲気を味わうことが出来た。

まだ團菊祭夜の部の感想を書いていないのだが、この放送の録画には見入ってしまったので、こちらの感想を簡単に書きたい。

『浮世柄比翼稲妻』は、平成十六年正月に国立劇場で上演されている。今回は山三浪宅の場と鞘当の二場である。うらぶれた長屋に住んでいる名古屋山三のところに花魁道中があって、恋人葛城が訪れる趣向が面白い。今回のような芝居小屋であると、より一層貧相な長屋と山三の色男振りや花魁の艶やかさの対比が出ていて、面白い。三津五郎の山三は、前回以上にはまり役で、柔らかさとその春風駘蕩とした雰囲気が観ている方も心地よい。亀治郎は、三役でそれぞれ個性の違いを出していたのは立派なものである。

『浅妻船・まかしょ』は、三津五郎家お得意の変化舞踊。浅妻船の朝香は普段なかなかお目にかかれない三津五郎の女形姿が美しい。基本をきっちりと押さえているから、安心して観ていられる。金丸座でならではの一瞬の背景転換で雪景色となり、早替りで今度は願人坊主となる。この踊りの洒脱さと軽みは舞踊の名手と言われる三津五郎ならではのものであろう。

舞踊『かさね』、原題は『色彩間苅豆』(いろもようちょっとかりまめ)で、最近は思ったより舞台にかかることが少なくなった。女主人公かさねの因果話で、前半が恋人与右衛門との道行、後半が実は父を殺した敵であることが分かり、殺されたかさねの怨みを見せる。亀治郎が恋に恥らう女心をクドキで丁寧に踊り、後半は一転して怨みから醜い顔になっての凄みを出していて、感心した。海老蔵の与右衛門は台詞に難はあるものの、その色悪としての風姿の艶やかな美しさは、さすがに絵になっていて、この人の持って生まれた歌舞伎役者としての血を感じさせた。
【2006. 05. 29 (月)】 author : 六条亭
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島田荘司『帝都衛星軌道』の発売
島田荘司の新刊にふれたこの記事

廃盤日記(増補改訂版)さま

からTBをいただいて、26日に発売済みであることを知った。いつもなら週末は書店をチェックするのだが、先週はあまりにも多忙でその余裕と時間がなかったので、この情報はありがたい。早速購入したい。何故なら、作者が「正直言って、自信作です」と言っているのだから。

島田荘司『帝都衛星軌道』(講談社)
【2006. 05. 28 (日)】 author : 六条亭
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勘三郎「浅草に芝居小屋を」
中村勘三郎も代表発起人に加わっての「浅草に芝居小屋をつくる会」の決起大会が25日開かれた。

各紙紹介記事

ディリー・スポーツ記事
東京新聞記事

猿若座ゆかりの浅草での平成中村座の興行が大成功して、地元も浅草に芝居小屋復活が必要との動きが活発となり、今回の会の発足となったようである。外観も江戸の芝居小屋にこだわった作りが構想されているようである。発起人には、串田和美、野田秀樹、三谷幸喜、立川談志などが名を連ねている。10万人署名活動に歌舞伎ファンも協力して、是非とも実現して欲しいものである。
【2006. 05. 26 (金)】 author : 六条亭
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團菊祭楽日夜の部黒手組幕見
お目当ての保名・藤娘は、歌舞伎座に到着したのが遅かったため残念ながらソールドアウト(>_<)。並んで、黒手組を幕見しました。

菊五郎さんが不忍池に突き落とされる前に、海老蔵さんを見て、「あっ、藤娘!」と言っていたのが、唯一の楽日ヴァージョンでした。
【2006. 05. 25 (木)】 author : 六条亭
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團菊祭五月大歌舞伎昼の部の感想
さて、今度は21日に通し観劇した團菊祭の感想を、まず昼の部から。

海老蔵と勘三郎の襲名披露興行の関係であろう、恒例の團菊祭の開催も三年振りである。しかも、文字通り柱となる團十郎が病癒えて、歌舞伎十八番の『外郎売』で舞台復帰するのが、何よりも今月一番の話題である。市川宗家と言えば、歌舞伎界を代表する家。その当主團十郎が舞台から遠ざかっていたのは、火が消えたように寂しいものであったから、この復活の舞台は、歌舞伎ファン必見のものであった。

『江戸の夕映』

野田秀樹や蜷川幸雄の歌舞伎進出に刺激されたのであろうか、最近はいわゆる新歌舞伎の久しぶりの上演が増えつつある。古典も大事であるが、旧態依然として同じ演目が出るのは、観る方も食傷気味の場合も多い。だから埋もれていた新歌舞伎の掘り起こしも悪くない。戦後の歌舞伎復興期にも、歌舞伎の危機が囁かれ、当時の幹部俳優たちは古典とあわせて、必死に新歌舞伎や新作の上演に努めていた。宇野信夫、北条秀司等の劇作家のみでなく、大佛次郎や三島由紀夫等の作家も歌舞伎の台本を彼らのために書いたのである。

『江戸の夕映』も大佛次郎が、当時の海老蔵(十一代目團十郎)、梅幸、松緑に当てて書き、明治維新前夜の群像を、当時の時代背景の雰囲気豊かに描いている。今回の上演は、その三人の孫−海老蔵、菊之助、松緑が主役を演じているのも興味深い。徳川家に殉じようとする一本気な海老蔵の小六、時代の流れに逆らわず武士も捨てて生きる大吉、その恋人で粋で気風の良い菊之助の芸者おりき、三人ともまだ若さゆえの固さは残るものの、とても新鮮な役作りで見せてくれた。

しかも、この台本が主役のみならず、脇役の端々まできっちりと性格別けをして書かれているので、ドラマに潤いと広がりがある。例えば、團蔵演じる小六の叔父松平掃部は、新政府のご威光を振り回して、娘お登勢(松也)をわがものにしようとしつこく通う亀蔵の吉田逸平太に対して、娘には許婚がいるからときっぱりとはねつけるその潔さ。その後まだ江戸に戻らぬ小六の身を二人して案じて思い遣る場面の何と胸打たれることか。松也も小六への思いの一途さが良く出ていて、可愛いさ・健気さがある。また、PARCO歌舞伎でその秘めた実力をいかんなく発揮した萬次郎の妾おきんの存在感、別人かと思わせるような右近の船宿の娘お蝶の甲斐甲斐しさとなど、あげだしたら切りがない。最後は江戸に戻った小六に再会した大吉と、そこへ駆けつけるおりきとお登勢。江戸の夕映が赤く舞台を染めての幕切れは、とても爽やかな後味の残るものだった。

『雷船頭』

松緑の船頭と空から落ちてきた少し気の弱い雷とがからむコミカルな舞踊。松緑は爽やかさにも不足がなく、切れ味良い。右近は、ここでも若さに似合わない踊りのうまさを見せていた。右近の将来恐るべしである。

『外郎売』

團十郎の五郎の台詞が鳥屋から聞こえてきただけで、もうワクワクし、そして花道にその元気な姿を現したのを見て、なぜか我が事のように嬉しくなる。少し痩せたような気もするが、口跡は滑らかで、爽やか。

本舞台へ来ると、菊五郎の工藤祐経ともに狂言半ばの舞台復帰の口上がある。当代團十郎自身が復活した歌舞伎十八番で、しかも一昨年出演するはずだったが病に倒れたため果たせなかった因縁のものである。ご本人が復活狂言で復活できたのは嬉しいと言うのも実感が籠っている。

さて肝心の狂言は、曾我狂言に小田原名物外郎の売り立ての早口を取り入れたのが見所・聞き所で、さらに今回は梅玉の兄十郎が出るヴァージョンである。曾我物としては、五郎・十郎兄弟が並んだ方が、やはり絵になる。三津五郎の朝比奈、時蔵の舞鶴など豪華な役者が揃い、これぞ歌舞伎の様式的な美しさの見本とも言うべき絵面の見得は眼福であった。團十郎の元気な舞台復帰を心よりお祝いしたい。

『権三と助十』

これも岡本綺堂の新歌舞伎の範疇に入るが、井戸替えなど江戸庶民の長屋生活を活写した点は、世話物そのものである。また話も大岡裁きを背景に出してくるあたりは、『半七捕物帳』を書いた作者の面目躍如の推理小説的要素もふんだんに盛り込まれている。しかし、他の綺堂の新歌舞伎とは異なり、謳いあげるような台詞の美しさは見られず、早口の台詞がポンポンと飛び交う喜劇的な要素が強い。アドリブも多くあるようで、菊五郎・時蔵の夫婦、三津五郎・権十郎の兄弟喧嘩など、気楽に笑える。左團次の大家六郎兵衛も、好々爺で味がある。

この舞台を上演すると、何故かハプニングが多く、台詞のとちりなのか、アドリブなのか分からないほどドタバタになる場合が多いようである。ただ、残念なことに(?)、所見の日はあまりそのような場面はなかった。幕切れに死んだはずの彦兵衛が実は生きていて、田之助が登場するが、菊五郎が「台詞が少なくてよかったね」とは、先輩役者を気遣っているようで笑わせる。この喜劇の中でただ一人悪人の團蔵の勘太郎が凄みをきかせ、際立っている。團蔵は、今月の昼『外郎売』も含めて三つに出演する活躍である。
【2006. 05. 23 (火)】 author : 六条亭
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坂東玉三郎と鼓童の共演−『アマテラス』の感想
アマテラス

鼓童が結成25周年を記念して、坂東玉三郎とのコラボレーションで実現した『アマテラス』を20日に観て来た。会場は外国人客も多く、鼓童の海外での人気の高さがうかがえた。

会場の世田谷パブリックシアターの舞台は半円形のエプロン・ステージが張り出しており、奥行きもあるから、普段見慣れた歌舞伎座などの舞台に比べると、かなり縦長に見える。劇場全体も塔のように高い。しかし、これが音響的にもとてもいいようである。

さて、話は有名な記紀の日本神話の世界。アマテラスが荒ぶるスサノオに手を焼いて、天岩戸に雲隠れしてしまう。そのため、世界は真っ暗になってしまい、困った神々がアメノウズメとともに面白おかしく、踊り囃したところ、アマテラスが姿を現して、また光を取り戻す。

この神話を和太鼓集団鼓童が、玉三郎の指導の下、どのような演奏を繰り広げるか?が一番の興味の的だったが、太鼓を中心とした和楽器による音楽劇という印象だった。とくに第一部は、玉三郎は一箇所のみ短く歌うように声を発するのみで、銅鑼や太鼓に加えて、笛や筝を中心とした和楽器と歌も音楽の重要な役割を担っている。それは鼓童の躍動的な太鼓を期待する向きには少々物足りなく感じるかもしれないが、玉三郎のアマテラスの時は、笛と筝などで表し、優美な所作がそれに加わる。金色の衣裳と髪飾りなどの装飾品も含めて、まさに目も眩むばかりの神々しい美しさに溢れている。対するスサノオは鼓童のベテラン藤本吉利が扮しており、その荒々しさはお得意の大太鼓の乱れ打ちで遺憾なく発揮されている。また、大きな金色と青の布を使って舞台一杯に前後左右に巧みに動かすことによって、高天原のアマテラスとスサノオの対立を象徴的に表現している。

後半の第二部は、アマテラスが天岩戸に隠れてしまったため、真っ暗闇の世界。神々が困惑するさまを滑稽な動きと音で笑わせる。それからは、もう鼓童のパワー全開ともいうべき様々な太鼓を使っての激しく、躍動的な太鼓演奏の連続で八百万の神々の饗宴である。その音は劇場内に低く、また高く渦巻くように鳴り響き、反響し、我々観客の体全体までが共鳴しているような錯覚を覚えた。太鼓の音というのは、人間が本来持っている野生のエネルギーと目覚めさせるものがあるのだろうか?とにかく聴くものを興奮させずにはおかない。そして、小島千絵子のアメノウズメが、アマテラスを再び出現させようと、太鼓にあわせて、激しく舞い踊り、祈りを捧げる。このあたりは記紀の神話では、少し猥雑な踊りと書かれているようであるが、今回のアメノウズメの扮装も巫女風のものになっていて、芸能の始祖であるばかりではなく、シャーマンとしての特徴をよく表したものだと思う。

やがて、かすかに天岩戸が開き、後光の中からアマテラスがゆっくりと今度はポスターにあるようなこれまた豪華な白く光り輝く衣裳で現れて、また高天原に光が戻り、歓喜のリズムのうちに幕が閉じる。玉三郎のアマテラスは微笑み一杯で、鼓童のメンバーを暖かく見守り、演出家の一面もちらりと見せていた。早くもスタンディング・オヴェーションをする観客もあり、何回ものカーテンコールのうちに、アンコールが出演者の挨拶も兼ねて演奏されて、興奮のうちに二時間強の舞台は終わった。

東京公演の後は、京都南座での公演になるが、舞台機構が異なるから、演出もまた少し変わることも予想される。
【2006. 05. 21 (日)】 author : 六条亭
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本HPを開設して三年が経ちました
昨夜ブログをUPしてから、昨日で本HPを開設してから三年が経ったことに気がつきました(^^;。最近ブログの更新で手一杯のため、まったくと言っていいほど本HPに手を入れることが出来ませんので、開設日まで忘れる始末です。こんなHPでもご訪問いただく方々には厚く御礼申し上げます。

いい加減何とかしなければいけないとは思いつつ、やはり土日の休みは好きな歌舞伎観劇などに費やされる日が多く、思うにまかせません。しかし、幸い六月は七月の鏡花月間に備えるためもあり、観劇は自粛気味ですから、この機会に頑張りたいと思います。
【2006. 05. 19 (金)】 author : 六条亭
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日本文学全集、世界文学全集−文学全集の思い出(その1)
最近は団塊の世代の思い出話が多いが、お付き合い願いたい。今度は読書である。

少年少女世界文学全集(その2)

上記講談社版の全集の後は、成長とともに当然ながら原典に進むことになる。だが、日本の小説を教科書通り漱石、藤村あたりから順次自然派、白樺派と読んでいったが、あまり面白くない作品が多かった。と言って、今ほど文庫本が普及していた訳ではない。岩波文庫、角川文庫、新潮文庫しかなかったように思う。だから、現代作家の作品も少なく、勢い文学全集に手が出た。当時は教養主義が尊ばれたから、文学全集が何社からか出ていた。

全集の筑摩書房から出ていものは高価だったが、赤い函に入った新潮社版日本文学全集は、幸い子供のお小遣いでも購入できたほどの廉価であったから、井上靖や三島由紀夫などが読めた。井上靖は、当時評判だった『氷壁』が収録されていたから、貪るように読んだ。しかし、心に深く刻み付けられたのは西域物と言われる短編で、とくに後漢の将軍班超を主人公にした『異域の人』が、異民族との闘いに一生をささげた武人が、年老いて母国の漢に戻ると、すっかりと異民族と間違えられるほどの風貌になっていたラストが強烈だった。以降、井上靖の作品は、西域ものを中心に読み進めて行くことになる。

ところが、肝心の世界文学全集となると、長編も多くおいそれと手が出なかったうえ、日本文学全集と対を成す新潮社版の世界文学全集は黄色い函のシリーズであるが、文字もびっしりと組まれていて、どうも取っ付き難い感じがした。また収録作品も訳者も今一つぴったりと来なかったので、河出書房版の世界文学全集−グリーン版と言われる全集を選ぶようになった。その最初の作品が、極めつけとも言うべき米川正夫訳のドストエフスキー『罪と罰』だった。思い返してみると、中学三年の時に探偵小説的な興味を持って、一挙に読了したが、同じような読書体験を持った人が多かったであろう。現に、『謎とき『罪と罰』』という名著(新潮選書)で、作品に仕掛けられた謎を縦横無尽に解き明かしたロシア文学者江川卓氏も、同書の冒頭でそのような体験を書いていた。続きはまた後日。
【2006. 05. 18 (木)】 author : 六条亭
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昭和30年代の外国テレビ映画
東映時代劇を取り上げたこの記事について、さちぎくさまから詳しいコメントを頂戴したのに触発されて、懐かしい昭和30年代の外国テレビ映画について、書いてみたい。

昭和30年代の外国テレビ映画

普通の家庭にテレビが本格的に入って来て、茶の間の主役になったのは昭和30年代である。ちょうど自分が中学生から高校生の多感な時期であるから、勉強もそっちのけで、テレビにかじりついた典型的なテレビっ子になったが、その中でも時代劇と並んで、熱中して見たのが西部劇やアクション物などを中心とした外国テレビ映画である。上記リンクのサイトのお蔭で当時の記憶がだいぶ蘇えって来た。

これは当時NETテレビ(今のテレビ朝日)系列などが自社制作のドラマに比べて、廉くて確実に視聴率が獲得できる一時間の外国テレビ映画の放送に力を入れたことによろうが、たしかに質が高いものが多かった。また、放送では日本語吹き替え、つまりアテレコを採用したことも老若男女が楽しめた大きな要因であったろう。当時「あの外人さんは、ずいぶん日本語がうまいね」とテレビを見た老人が言った、という笑い話があったように覚えているが、それほどアテレコは自然で、うまかったと思う。久松保夫や園井啓介などの俳優や、声の魅力で引っ張りだこだった若山弦蔵などのアテレコ起用も当たった。

毎日ゴールデン・タイムに看板番組として、これらの映画が放送されたので、時期が多少前後するが、たしか次のように毎日観ていたはずである。

・月曜日 『ボナンザ』『シャイアン』
・火曜日 『アンタッチャブル』
・水曜日 『マーベリック』
・木曜日 『ララミー牧場』
・金曜日 『ベン・ケーシー』
・土曜日 『サーフサイド6』『ローハイド』
・日曜日 『サンセット77』

この中でも、とりわけララミー牧場は淀川長治の例の「サヨナラ、サヨナラ」の解説もあって、主役ジェフのロバート・フラーは国民的な人気者になった。しかし、自分の一番のお気に入りは、禁酒法時代のFBIのエリオット・ネスを主役にした『アンタッチャブル』と今BS2で再放送されている
『ローハイド』であった。前者は、言わばアメリカ版鬼平犯科帳のようなもので、沈着冷静なネス隊長を演じたロバート・スタックが、日下武史の低音の利いた吹き替えとともにまさにかっこよかった。後者は、フェーバー隊長(声:小林修)の魅力もさることながら、若い副隊長のロディ・イェイツのクリント・イーストウッド(声:山田康雄)が新鮮だった。しかし、まさかその後マカロニ・ウェスタンを経て、世界的な大スター兼監督にまでなるとは予想できなかった。

他に『名犬ラッシー』やこれも若きスティーブ・マックイーンが観られた『拳銃無宿』もあり、外国テレビ映画の思い出はつきない。
【2006. 05. 17 (水)】 author : 六条亭
| テレビドラマ | comments(9) | trackbacks(0) |
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