徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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戸板康二『團十郎切腹事件 中村雅楽探偵全集1』本日発売
評価:
戸板 康二
東京創元社
¥ 1,260
(2007-02-28)
既に発売記事を書いた戸板康二『團十郎切腹事件 中村雅楽全集1』(創元推理文庫)本日発売されて、予約していた書店から連絡が入ったので、ようやく手に入れることができた。私の悪い癖で、文庫本を購入するとまず巻末の解説から読むのであるが、本書の場合、過去に出版された際の江戸川乱歩の解説や作者の作品ノート、講談社文庫飯後記と小泉喜美子の解説など資料的にも豊富なものが収録されているとともに、今回の創元推理文庫版の解説・編者解題などもまことに周到・綿密なもので、まさにミステリ史上独自の輝きを放つ中村雅楽全集の名に恥じない一冊になっている。

早速未読のものから読み始めたが、高松屋中村雅楽と新聞記者竹野に江川刑事のトリオが解き明かす推理短編は、歌舞伎を中心にした演劇界を舞台にしたものが多く、歌舞伎を知っていれば、面白さは増すが、しかし知らなくとも十分その推理はミステリ・ファンを楽しませるものだと思う。今まで文庫化された作品が少なかったのが信じられないくらいである。

さてこの『中村雅楽探偵全集』の続巻の内容が、この第1巻の帯に載っていたので、下記に記しておく。今度こそは予定通り発売して欲しいものである。

第2巻『グリーン車の子供』短編19編収録(2007年4月発売予定)
第3巻『目黒の狂女』短編22編収録(2007年6月発売予定)
第4巻『劇場の迷子』短編26篇収録(2007年8月発売予定)
第5巻『松風の記憶』長編2編収録(2007年10月発売予定)

【2007. 02. 28 (水)】 author : 六条亭
| 読書 | comments(10) | trackbacks(0) |
パリ・オペラ座歌舞伎公演 制作発表記者会見
三月のパリ・オペラ座で歌舞伎公演を行う團十郎、海老蔵、段四郎、亀治郎が記者会見を行った模様が新聞各紙に報道された。團十郎は「初代團十郎の時代にパリに行けていたら、彼はきっと行った。日本の文化を背負って乗り込む気概です」と語ったという。

ディリー・スポーツ記事
日刊スポーツ記事
【2007. 02. 28 (水)】 author : 六条亭
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河竹登志夫氏の「永山さんを偲ぶ」―二月筋書より
昨日の千穐楽に購入した二月大歌舞伎の筋書は、通し狂言『仮名手本忠臣蔵』の上演とあって、上村以和於氏の忠臣蔵についての論考やゆかりの地紀行などまさに仮名手本忠臣蔵一色で読み応え十分の内容であった(勿論、当月の舞台写真もいつもながらよかったが)。末尾の上演記録も例月と異なり、戦後の通し狂言としての『仮名手本忠臣蔵』のみを多くの役名・役者とともに掲載していて、資料的価値も高く、過去の舞台の記憶がよみがえる。

しかし、今月の筋書の一番の読み物は、河竹登志夫氏の「永山さんを偲ぶ」という追悼文であろう。歌舞伎座の筋書と言えば、巻頭の永山氏の顔写真入りの「ご挨拶」が定番であった。その永山氏をあえて永山さんと呼んで偲ぶ河竹氏の文章はただのありきたりの追悼文ではない。ともに手を携えて、戦後の歌舞伎の発展、またとくに海外公演を成功に導いた戦友の貴重な証言であり、歴史でもある。まさに永山氏あってこそ歌舞伎の今の隆盛があったことが分かり、深い感慨を覚えるとともに、一興行主という立場を超えた大きな存在であったとしみじみ思う。

それに加えて、『仮名手本忠臣蔵』の通し狂言を、若い時から永山氏がいかに大好きだったかが語られた次の文章を読むと、今月の通し上演が時期的には偶然とはいえ、奇しくも永山氏の追悼上演の形となったのは天の配剤かとも思える。また、それに応えるような名舞台の今回の通し上演であった。河竹氏の文章を一部引用させていただいて、あらためて永山氏のご冥福をお祈りしたい。

永山さんが生きた大いなる歌舞伎人生はまさに、「忠臣蔵」で幕をあけ「忠臣蔵」でその幕を閉じたともいえよう。しかもその死は、討入を翌日にひかえた日の早朝であった。

もし人に霊魂があるなら、永山さんの霊魂はいま、はからずも追悼公演となったこの歌舞伎座の「忠臣蔵」を、あの愛情こめたきびしい目で、見守っているにちがいない。
【2007. 02. 26 (月)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(0) | trackbacks(0) |
仮名手本忠臣蔵楽日夜の部観劇
20070225_284562.jpg

今日の楽日夜の部も、七段目にもっとも見入ってしまった。ひいき目に観ても、玉三郎のお軽はまさに役そのものになりきっていて、天性のお軽役者であると思う。夫と父・母そして兄への愛情の深さ、可愛らしさと色気は比類がない。愛する勘平の切腹による死を聞いて驚き、ゆっくりとのけぞり倒れる形の美しさなどは、この人ならではであろう。

吉右衛門の由良之助と仁左衛門の平右衛門という最高の組み合わせで、この七段目は今回の忠臣蔵の通し上演の白眉の舞台になっていた。
【2007. 02. 25 (日)】 author : 六条亭
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待賢門院璋子の生きざま
宮尾登美子の『宮尾本平家物語』をふっと思い立って、読み返している。この中で作者は平清盛が白河法皇のご落胤説をとって書いているが、それに加えて白河法皇の孫の鳥羽法皇の中宮であった待賢門院璋子の、ある意味では自由奔放な、それでいて高貴な男たちを魅了つくした生きざまを生々しく描き出していて、印象的である。

この女院のことは角田文衛氏の『椒庭秘抄―待賢門院璋子の生涯』(朝日新聞社)による精緻な研究成果により、ほぼ明らかとなっていて、宮尾登美子もこの業績によっているところが大きいと思う。白河法皇と祇園女御の猶子とされていたにもかかわらず、養父の白河法皇との関係ができ、崇徳上皇は鳥羽法皇の子ではなく、この二人の間の子供であったことはほぼ間違いないことのようで、鳥羽法皇は叔父子と呼んでいたという。この二人の奇妙な親子関係が後の保元・平治の乱のつながり、結果として平家全盛の武士の時代を招来する引き金になったことは、この女院の生き方をどう評価するか別として、歴史の転換に大きな影響を与えたという訳で、日本の歴史上稀有のことであろう。
【2007. 02. 23 (金)】 author : 六条亭
| 歴史 | comments(2) | trackbacks(0) |
アバドのCD新譜はシューマンのチェロ協奏曲とは渋い!
我が敬愛する指揮者クラウディオ・アバドのDGGからのCD新譜リリースの情報が入って来た。アバドとマーラー・チェンバー・オーケストラのイタリア・ツアーにおけるライヴ盤だそうであるが、曲目が何とも渋い!

アバド&グートマン / シューマン:チェロ協奏曲

チェロのナターリャ・グートマン女史は、ルツェルン祝祭管弦楽団にも参加している世界的なチェロ奏者で、アバドの信頼も厚い。同時収録のブラームスのセレナード第1番もたしか再録音であったと思うが、これまた比較的地味な曲であるから、この2曲がどんな仕上がりになっているか、楽しみである。


【2007. 02. 22 (木)】 author : 六条亭
| クラシック音楽 | comments(2) | trackbacks(0) |
博多座二月花形歌舞伎に遠征された方の感想
歌舞伎観劇のお仲間の葉子さまから、博多座の二月花形歌舞伎遠征の感想メールをいただきましたので、ご本人の了解を得まして、その一部を掲載いたします。

博多座二月花形歌舞伎の演目は、こちら

ハードな博多座観劇から無事に帰ってきました。楽しくて、楽しくて、帰りたくなくて「飛行機が飛ばなければいいのに」と思ったほどです。

若いだけに芸で魅せるというわけにもいきませんが、それぞれ持ち味を発揮した見せ所がたくさんありましたよ。もちろん、保護者(?)團蔵さんのひょうきん味&弁慶の貫禄にはうなりました。まったく期待していなかった彦市もおもしろくて、結局ギリギリの時間ま
で観劇(^_^;)

蘭平の立ち回りは何度みても感動ですし、弥生の視線に緊張し、知盛の亡霊ににらんでもらえるし、高時の天狗はいい動き、おちくぼで海老蔵さんと菊之助さんが手をとりあって花道を去っていく姿は絵になるし、どれも捨てがたい。

心底堪能してまいりました。

博多座は博多の中心街川端という便利な場所にあり、近くにホテルも多く、観劇とグルメには絶好の場所。このような感想をお聞きすると、無理にでも遠征したかったと思う。演目的には東京でも新橋演舞場の花形歌舞伎あたりで是非とも出して欲しいものばかりである。
【2007. 02. 21 (水)】 author : 六条亭
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三月国立小劇場の追加公演とさくらまつり
国立劇場のサイトが更新されていて、次の二点の情報が掲載されていた。

『蓮絲恋慕曼荼羅(はちすのいとこいのまんだら)』の追加公演決定

小劇場公演で坂東玉三郎演出・主演の新作歌舞伎ということもあったろうが、早々と全日程完売となったこの公演、平日20日の午後5時開演の一回のみであるが、追加公演が決定したとのこと。電話予約はこれからであるから、残念ながらチケット争奪戦で涙をのんだ方も、再チャレンジの機会ができたことになる。

国立劇場さくらまつり

国立劇場の近くには桜の名所で有名な千鳥ヶ淵もあり、桜の満開の季節は多くの人が訪れる。ここ国立劇場も珍しい桜が多く、隠れた桜の名所である。今年は暖冬で例年より開花が早まりそうであるから、三月中旬から十日間開催される「さくらまつり」もちょうど三月公演の観劇と同時期となり、楽しめそうである。
【2007. 02. 20 (火)】 author : 六条亭
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宇江佐真理『雨を見たか 髪結い伊三次捕物余話』を読む
人情捕物シリーズの第七作目である。しかし、髪結い伊三次と芸者桃太郎ことお文夫婦の一粒種伊与太の成長は可愛らしいが、物語の主役は伊三次の仕える不破友之進の長男龍之進が中心となっている北町奉行所の見習組である。

彼らの悪事を働く本所無頼派の探索活動をめぐるエピソードがほとんどで、伊三次たちはそれを助ける脇役になってしまっているのは、第一作から読んでいるものにはシリーズがやや変質いるように思われて残念だが、それを別とすれば、龍之進たち見習組の面々の個性も描き分けられていて、若人たちの捕物帖としても面白い。
【2007. 02. 18 (日)】 author : 六条亭
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宮部みゆき『火車』を読む
職務中の怪我で休職・リハビリ中の刑事のところに、親戚の銀行員から婚約者が急に姿を消したので、探して欲しいと相談を持ち込まれてきたことから、この傑作ミステリーがはじまる。まだ膝が完治していないから、最初は渋々だった本間刑事も、この奇妙な失踪劇の奥に消費者信用(クレジット)問題が根深く横たわっていることに気づき、徐々に調査の網の目を宇都宮から名古屋、伊勢、大阪まで広げてゆく。

そこに浮かび上がってきたのは債権の取立屋から家庭を、結婚を壊された女性が、自分を生まれ変らせるために、同世代の同性になりすまそうという巧みな計画であり、そのために一人の女性が犠牲になった(ただし、小説のなかではその可能性が高いと示唆されているのみであって、死体が発見された場面は描かれていないから、悲惨な描写はない)という真相である。しかし、その入れ替わられた女性もクレジット漬けで自己破産した過去があったことが判明し、またもや本人が逃亡したのは何とも皮肉である。逃亡に次ぐ逃亡を重ねながら、新しいターゲットに接触しようとした本人をようやく見つけたところでこの追跡劇は終る。この小説には悪人はいない。だが、クレジットゆえに悲劇は起きた。

主人公は休職中であるから、あくまで一私人として調べる真摯で地に足の着いた調査方法や、的確な推理と迅速な行動、そして周囲の温かい協力も、宮部みゆきの多くの作品と同様に読んでいて大変気持ちのよいものである。真相の周辺を迂回しながらも次第に核心へ到達して行くまで一気に読ませる展開は作者の腕のさえの見せ所である。しかし、この小説のすぐれたところは、以上のような点に加えて、クレジット社会の怖さを小説として昇華させたことであろう。そういう意味ではこの小説が経済小説としても高く評価されているのも当然だと思う。
【2007. 02. 16 (金)】 author : 六条亭
| 読書 | comments(2) | trackbacks(0) |
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