徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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国立劇場の十月・十一月の歌舞伎公演
歌舞伎座の七月・八月の歌舞伎公演ばかりに注目していて、国立劇場の大劇場の十月と十一月の歌舞伎公演が発表されているのに気が付くのが遅くなった。十一月は最近だと思うが、メモ代わりにアップしておく。

両月とも通し狂言はいいけれども、国立劇場ならではの古典の通しを期待していたのだが、そういう意味では期待外れ。十一月は乱歩の『人間豹』を歌舞伎化したもののようであるが、どんなものになるか想像もつかない。

十月歌舞伎公演『大老』

北条秀司十三回忌追善
北条秀司=作・演出
織田紘二=演出
「大 老」(たいろう)   五幕九場
(出演)
中 村 吉右衛門
中 村 魁  春
中 村 芝  雀
中 村 歌  昇
中 村 歌  六
中 村 梅  玉 ほか

2008年10月4日(土)初日 〜 27日(月)千穐楽(休演日16日)

十一月歌舞伎公演『江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)』

江戸川乱歩=作「人間豹」より
岩豪友樹子=脚色
九代琴松=演出

えどのやみあやしのかぎづめ
「江戸宵闇妖鉤爪」
― 明智小五郎と人間豹 ―
   
市川染五郎大凧にて宙乗り相勤め申し候

(出演)
松 本 幸四郎
市 川 染五郎 ほか

2008年11月3日(月)初日 〜 26日(水)千穐楽(13日休演日)

【2008. 05. 31 (土)】 author : 六条亭
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七月大歌舞伎の製作発表の記事
昨二十八日に七月大歌舞伎の製作発表の記者会見があり、出席した玉三郎と海老蔵の談話が写真付きで各紙に掲載された。

デイリースポーツonline

スポニチ

ニッカンスポーツ

@ぴあニュース

女断ち海老蔵「煩悩に打ち勝ちたい」というような本人の女性関係のゴシップに言及したような記事が多いのが苦笑ものであるが、そのなかで@ぴあニュースが夜の二作品(『夜叉ヶ池』『高野聖』)が連歌のように繋がっていると語る玉三郎とそれに応じた海老蔵の談話を載せているのが興味深い。また、昼の部で宙乗りを勤める海老蔵の『義経千本桜』にかける意気込みも伝わってくる。

ところで今回の『高野聖』は五十四年ぶりの再演とあるが、その前回昭和二十九年八月の歌舞伎座公演に触れた戸板康二氏の著書『女形余情』(三月書房 昭和六十二年発刊)を見付けたので、中村扇雀(現・坂田藤十郎)の項の一部を以下引用する。

(『曾根崎心中』で一躍扇雀にブームが嵐のように湧き上がったので、松竹もこの若く美しい女形のために、さまざまな企画を立てた、という前書きがある。)
中でも異色だったのは、昭和二十九年八月の歌舞伎座の「高野聖」であろう。
泉鏡花が持っている幻怪を描いたいくつかの作品の中でも、いちばん強烈な印象を与える原作を、吉井勇が劇化、久保田万太郎が演出した。思えば、贅沢なスタッフである。
宗朝という旅を行く若い僧が山の中で雪路という女の水浴している姿を見る。小説はおのずから、その場所にただよう風土をたくみに書いているのだが、舞台に移したらどうだろうと思っていたが、予想とはまったくちがったいい芝居ができた。
扇雀の美しさも、形容しがたい世界を生む大きな理由だったが、この雪路という女が上半身をあらわにするという衝撃的な場面になると、客席が歓声をあげた。女優が海にはいったり、入浴したりする映画は、このころ珍しくなかったのだが、これは女形だからおもしろい。
あとにも先にも、女形の(上半身ではあるが)ヌードは、ほかにあるまい。
同時に、三十余年前、こんな役を喜んで引き受け成功したのは、扇雀の世代の持つ新しさともいえるだろう。

宗朝を演じた役者については戸板氏は言及されていないので現時点では不明としておくが、同じ昭和二十九年六月に大阪の新歌舞伎座で上演されたものをご覧になったみよ吉さまの記事(「玉さま模様今むかし」【高野聖】)によれば、蓑助(八代目三津五郎・当代の祖父)だったそうなので、同じ配役の可能性もある(分かり次第補記する予定)。

さて今回の玉三郎と海老蔵の顔合わせによる『高野聖』、いったいどのような舞台になるのであろうか?

【2008. 05. 29 (木)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(8) | trackbacks(0) |
リヒテル、ロンドン・ライブのDVDの発売予定
ロシアの名ピアニストだったスヴィヤトスラフ・リヒテルは、当時鉄のカーテンなどと言われたようなソ連当局の干渉もあったであろうが、当の本人そのものの録音嫌いが災いしてか、ヨーロッパへの演奏旅行が行われるようになっても、正規の録音はそれほど多く残っていない。

そんなリヒテルが正式に了承した1989年のロンドンでのライブの映像が、DVDでリリース予定である。照明を好まないリヒテルのために40ワット電球1ケのみの暗い映像のようだから、DVDとしては鑑賞に耐えうるものかどうかは分からないが、曲目がモーツァルトのピアノ・ソナタ3曲とショパンのエチュード抜粋は要注目である。以前放送録音で聴いたことがあるリヒテルのショパンは、とても外見には似合わないような繊細なショパンだった。このような録音は、DVDでも是非視聴したいものである。

リヒテル、ロンドン・ライブ(DVD)

JUGEMテーマ:音楽
【2008. 05. 28 (水)】 author : 六条亭
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藤沢周平『海坂藩大全』(上下)を読む
作者の生まれ故郷山形県鶴岡をモデルにしたと言われる架空の藩、「海坂藩」。多くの藤沢作品の舞台となった海坂藩が登場する短編すべてを収録した本書はファンにはたまらなく嬉しいものである。

海坂は私が小説の中でよく使う架空の藩の名前である。……海辺に立って一望の海を眺めると、水平線はゆるやかな弧を描く。そのあるかなきかのゆるやかな傾斜弧を海坂と呼ぶと聞いた記憶がある。うつくしい言葉である。(『小説の周辺』より)


『海坂藩大全』(上)

『海坂藩大全』(下)

しかし、意外なことに海坂ものの執筆頻度は高くないという。だから、ここに収録されているのは二十一の短編である。読者にとってはもっと多いはずとの印象があるが、それは長編(短編連作を含む)が、『用心棒四部作』、『蝉しぐれ』、『三屋清左衛門残日録』、『隠し剣孤影抄』『隠し剣秋風抄』、『秘太刀馬の骨』の代表作九編が海坂ものであるからだろう。

しかも、海坂ものと判定する基準が、
(1)海坂藩、海坂と明記してある。
(2)五間川が流れている。
(3)色町として染川町がある。
の三条件とこの本の編者は厳密に定義した。したがって、いかにも海坂ものの雰囲気濃厚な作品も多く除外されている。もちろん、藤沢作品を通底する下級武士や部屋住みの武士たちが主役で、陰謀や争いごとに巻き込まれる話であるが、けなげで凛とした魅力のある女性たちも主人公になっているのが目をひく。

上巻には直木賞受賞作の『暗殺の年輪』や『潮田又五郎置文』など出世作が中心であるから、まだ暗い情念を秘めた作品が前半にあり、次にどこかそこはかとない苦いユーモアを漂わせた『遠方より来る』、派手な夫婦喧嘩ばかりしている初老の夫婦のところへ記憶をなくした美しい娘が迷い込んでくる、哀歓溢れる『小鶴』など十篇が収められている。

下巻は、『泣くな、けい』、『山桜』、『花のあと−以登女お物語』など女主人公たちの作品が胸を打つ。『山桜』は、今回映画化されている。

映画『山桜』公式サイト

JUGEMテーマ:読書
【2008. 05. 26 (月)】 author : 六条亭
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『オリエンタル・ナイト』−ヴァルトビューネ2006を視聴する
先日来ベルリン・フィルの野外コンサート−ヴァルトビューネにはまっているが、昨年BS2で放送されたネーメ・ヤルヴィ指揮の2006年のコンサートがユーロアーツの輸入盤でDVDで発売済みであるのを見付け、早速購入して視聴した。題して『オリエンタル・ナイト』(もっとも映像では、「Thousand and One Nights」となっているから、「千夜一夜」である)。

ヴァルトビューネ2006 ネーメ・ヤルヴィ指揮ベルリン・フィル『オリエンタル・ナイト』

曲目も凝っていて、リムスキー=コルサコフの交響組曲『シェエラザード』とグリーグの『ペール・ギュント』組曲を中心に構成してあり、異国情緒満点であるうえ、めったに聴けない珍曲もある。加えて、美しきヴァイオリン界の新鋭ジャニーヌ・ヤンセンが登場して、華麗なる演奏も聴かせる。

指揮者ネーメ・ヤルヴィは北欧やロシア音楽のスペシャリストであるから、これほどうってつけの人もいない。白のタキシードを着て颯爽と登場したヤルヴィの指揮ぶりはお世辞にもかっこいいものではないが、その音楽は大変がっちりとしていながら、少しも固いところが無い豊潤なもので、まさに職人芸的。安心して楽しめる。

『オリエンタル・ナイト』になぜグリーグの『ペール・ギュント』が出てくるのかと言えば、主人公のペール・ギュントがアラビアを放浪する部分があるのであるから、少しもおかしくない。しかも、有名な「ソルヴェーグの歌」を歌うマリタ・ソルベルク(S)が、非常に透明で澄んだ歌声を聴かせてくれるから、「アニトラの踊り」「アラビア人の踊り」をあわせて、グリーグを得意とするヤルヴィの面目躍如のすぐれた音楽となっている。

メインの交響組曲『シェエラザード』は、前半と後半の二部に別れて演奏される珍しい構成であるが、次第に暮れて行くヴァルトビューネの森のなかで、大勢の観客がふる明かりを背景にしての音楽は幻想的ですらある。ジャニーヌ・ヤンセンはマスネ『タイスの瞑想曲』とサン=サーンス『序奏とロンド=カプリチオーソ』を弾いたが、後者が鮮やかなテクニックで弾き切って、熱い演奏であった。それにしても、先ほどのソルベルクといい、このヤンセンといい、美形そろいで目も楽しませてくれる。例年のように寝転んで聴いたり、恋人と睦まじく楽しそうにしている観客の映像などが挿入されて、この野外音楽会が6月のベルリンの恒例となっており、いかに市民たちに愛されているかが分かる。

アンコールもフチーク『フロレンチーヌ行進曲』、ニールセン『黒人の踊り』、そしてお決まりのリンケ『ベルリンの風』で、この演奏会は大いに盛り上がって終わる。なお、上記のリンクでは曲目がすべて網羅されていないので、参考までに全曲を以下に掲げる。

【曲目】
(1)モーツァルト『後宮からの誘拐』序曲
(2)ニールセン『アラディン』
(3)リムスキー=コルサコフの交響組曲『シェエラザード』
   第1楽章 「海とシンドバットの船」
(4)同 第2楽章 「カレンダー王子の物語」
(5)グリーグ『ペール・ギュント』組曲より
  「アニトラの踊り」
(6)同 「ソルヴェーグの歌」(マリタ・ソルベルク(S))
(7)同 「アラビア人の踊り」(インゲビョルク・コスモ(Ms))
(8)マスネ『タイスの瞑想曲』(ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン)
(9)サン=サーンス『序奏とロンド=カプリチオーソ』』(ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン)
(10)リムスキー=コルサコフの交響組曲『シェエラザード』
   第3楽章 「若い王子と王女」
(11)同 第4楽章 「バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲」
(アンコール)
(12)フチーク『フロレンチーヌ行進曲』
(13)ニールセン『黒人の踊り』
(14)リンケ『ベルリンの風』

JUGEMテーマ:音楽
【2008. 05. 25 (日)】 author : 六条亭
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八月には三響会の第六回囃子の会も…
三響会blogに第六回囃子の会の詳細が出た。出演者も最強メンバーであるから、これは熱い夏になりそうである。

第六回囃子の会

2008年8月2日(土)
会場:東京・歌舞伎座
16:30開演(終了予定20:30)

以下、同公演情報から、演目と配役

一、三番叟
   藤間勘十郎
二、鶴亀
   中村梅玉
   中村梅枝
   中村萬太郎
   中村梅丸
三、小袖曽我
   観世銕之丞
   梅若六郎
四、静と知盛
   中村富十郎
五、羅生門
   中村吉右衛門
六、楊貴妃
   観世清和
   宝生閑
七、老松
   坂東玉三郎
番外 獅子
   亀井忠雄
   田中佐太郎
   亀井広忠
   田中傳左衛門
   田中傳次

料金(税込み)
桟敷席 17,000円
一等席 15,000円
二等席 12,000円
3階A席 6,000円
3階B席 4,000円
6月18日(水)午前10時よりチケットホン松竹及び、チケットWEB松竹にて受付開始

【2008. 05. 23 (金)】 author : 六条亭
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『毛谷村』『一本刀土俵入』新橋演舞場五月大歌舞伎昼の部の感想
最後になってしまったが、新橋演舞場昼の部の感想。

『毛谷村』

染五郎の六助、亀治郎のお園の顔合わせが清新な印象を受けた。染五郎は年齢的にも六助とほぼ同年代、自分の地のままでも十分できる役であろうが、叔父の吉右衛門に習った跡がよく分かる丁寧な役作りで好感を持てた。この役で大事なことは、心根の優しさであろうが、その点がみなし子や押しかけ姑の一味斎後室お幸に対する接し方にごく自然に表れている。しかしなんと言っても一番よいのは女武道のお園とのやりとりで許婚と聞いて驚くが、その後の戸惑う風情、そして勝ちを譲った微塵弾正への怒り、さらには仇討ちへ勇んでの出立と柔らか味と力強さを併せ持ったところである。

対する亀治郎のお園は最初の虚無僧姿の時の台詞が、どすのきいた立役の地声のままなのは感心しない(これはあくまで女が男の扮装をしているのだから)が、許婚の正体を見せてからは、大変甲斐甲斐しく、また恥じらいも見せる可愛い娘に変身するのはさすがである。ただ、この役も浅草歌舞伎の雪姫(『金閣寺』)と同様雀右衛門に習った跡が見えるが、まだ雪姫ほど十分手の内に入った役とまではいかなかったと思う。このお園はやはり一筋縄でいかない難しい役である。

吉之丞のお幸が傑作である。当初歌江が出演予定のところ休演のため、代役となったものであるが、武家の後室の品格があるばかりではなく、押しかけの部分がごく自然で飄逸味さえある。この人が脇にいるだけでいかに舞台の厚みが増し、締まってくるかが目に見えて分かる。今はこの人の舞台はどれも貴重である。錦之助の弾正はあくの強さがないのは、この人のニンにあう役ではないからであろう。

『藤娘』『三社祭』『勢獅子』

舞踊三段返し。並べ方が女形の舞踊の次に同じ祭りの舞踊を続けるのはどうなのか?といささか気にならないでもなかったが、一人から二人の舞踊、そして祭りの鳶頭と手古舞たちの華やかな舞踊で締めるのも悪くはなかった。ただ、『勢獅子』ではその分主役の歌昇、錦之助の存在がややかすんで見えたのが難点だった。

福助の藤娘は、振りの一つ一つの形は綺麗だが、それが舞踊全体の流れとして一本につながっていないきらいがある。染五郎と亀治郎の悪玉・善玉は、小気味よく競うように踊る。跳ねるような足拍子も軽快で、観る方も気持ちよい。

『一本刀土俵入』

先月の『刺青奇偶』の時も書いたが、私は長谷川伸の戯曲のよき理解者とは言えない。この『一本刀土俵入』も股旅物で、しかもお涙頂戴を狙ったような濃い舞台はどうも苦手である。しかし、今回は違った。幕切れの吉右衛門扮する駒形茂兵衛の「しがねえ姿の土俵入りでござんす」にはぐっと来た。狂言全体の流れとしては非常に淡白であっさりとしているのであるが、取手の宿で無一文でふらふらとなっている取的の茂兵衛は、酌婦のお蔦に金や櫛・笄などを恵んでもらい、その厚い人情に泣くのがまず自然体である。しかも、芝雀のお蔦がただの酒びたりですれっからしの酌婦ではなく、いかにもそのような恵みをするような純情さと人の良さが溢れている。だから、辰三郎との子をあめ売りをしながら育てている後半のお蔦にあまり違和感がない。

吉右衛門は満腹になって元気が出て、追いかけてきたごろつきども片付ける前半から、颯爽としたやくざ者になっていかさま博打をして波一里儀十一家(歌六が迫力ある親分)に追い詰められたお蔦親子を助ける後半まで、場ごとに変わってゆく姿は見事である。しかも、肝心のお蔦が茂兵衛が誰だか分からず、頭突きをくらわす姿に思わず思い出す間がなんとも言えずいい。

歌昇のごろつき弥八が、雰囲気をよく出していていい。脇役陣も充実していて、これは久しぶりに後味のよい人情劇だった。

【2008. 05. 23 (金)】 author : 六条亭
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八月納涼歌舞伎の演目と配役の発表!
最近先々の歌舞伎座の演目と配役の発表が早くなっているのはありがたいことである。本日恒例の八月納涼歌舞伎の演目と配役が歌舞伎美人に早くもアップされていた。チラシは、こちら

普段あまりお目にかかれない珍しい演目が揃っているので、期待できる内容であるが、何と言っても勘三郎が予告していたように野田秀樹と組んだ新作歌舞伎が五年ぶりに上演されるのが注目である。『野田版 愛陀姫』、さて一体どんな舞台を見せてくれるのか?

こちらのニュース記事によれば、ヴェルディの歌劇『アイーダ』を題材にしたもののようである。その他には勘太郎の『紅葉狩』が魅力的であるから、第三部に相当な人気が集まりそうである。

歌舞伎座百二十年
八月納涼大歌舞伎
【第一部】
○ 女暫
             巴御前  福 助
          手塚太郎光盛  三津五郎
            轟坊震斎  勘太郎
     女鯰若菜実は樋口妹若菜  七之助
           蒲冠者範頼  彌十郎
             舞台番  勘三郎

○ 三人連獅子
             親獅子  橋之助
             子獅子  国 生
             母獅子  扇 雀

○ 眠駱駝物語 らくだ
           紙屑買久六  勘三郎
          駱駝の馬太郎  亀 蔵
           手斧目半次  三津五郎


【第二部】
○ つばくろは帰る
           大工文五郎  三津五郎
          八重菊おしの  扇 雀
           弟子三次郎  勘太郎
            舞妓みつ  七之助
             安之助  小 吉
           弟子鉄之助  巳之助
           蒲団屋万蔵  彌十郎
          祗園芸妓君香  福 助

○ 大江山酒呑童子
            酒呑童子  勘三郎
          濯ぎ女 若狭  福 助
           同なでしこ  七之助
           同 わらび  松 也
            卜部季武  巳之助
            碓井貞光  新 悟
            坂田公時  勘太郎
             渡辺綱  彌十郎
            平井保昌  橋之助
             源頼光  扇 雀


【第三部】
○ 新歌舞伎十八番の内 紅葉狩
     更科姫実は戸隠山の鬼女  勘太郎
              山神  巳之助
           従者右源太  高麗蔵
           同 左源太  亀 蔵
            侍女野菊  鶴 松
            腰元岩橋  市 蔵
             局田毎  家 橘
         余吾将軍平維茂  橋之助

○ 野田版 愛陀姫(あいだひめ)
              濃姫  勘三郎
             愛陀姫  七之助
        木村駄目助座衛門  橋之助
          鈴木主水之助  勘太郎
           多々木斬蔵  亀 蔵
            斎藤道三  彌十郎
           祈祷師荏原  扇 雀
           同  細毛  福 助
            織田信秀  三津五郎

平成20年8月9日(土)初日〜27日(水)千穐楽
料金(税込み)
1等席 12 ,000円
2等席  8,400円
3階A席 3,500円
3階B席 2,000円
1階桟敷席 14,000円

【2008. 05. 22 (木)】 author : 六条亭
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通し狂言『東海道四谷怪談』−新橋演舞場五月大歌舞伎夜の部の感想
十七日に通し観劇した新橋演舞場五月大歌舞伎の感想も、順序は逆ながらまず夜の部から。

通し狂言『東海道四谷怪談』

吉右衛門が座頭となっての新橋演舞場の歌舞伎公演は、今年で三年目。通し狂言を積極的に取り上げているのは嬉しいことである。夜の部はこの四谷怪談の通し一つのみである。しかし、この膨大な鶴屋南北の傑作のすべてを上演するのは、現行の興行システムではやはり厳しい。作者が意図したように、二日かかりで『仮名手本忠臣蔵』と交互に上演するようなことは望むのははなから無理は承知であるが、せめて今回も省略された三角屋敷も含めての完全な通し上演を、是非どこかで実現して欲しいものである。

さて、今回は吉右衛門の民谷伊右衛門、福助のお岩(小仏小平、お花の三役)、染五郎の佐藤与茂七、錦之助の奥田庄三郎、芝雀のお岩妹お袖、歌六の按摩宅悦、段四郎の直助権兵衛と配役は万全である。序幕は岩・お袖の父四谷左門を殺す伊右衛門と、お袖をめぐる鞘当てから与茂七と誤って奥田庄三郎を惨殺した権兵衛がうまく対比してその悪党ぶりが描かれている。ここでは吉右衛門はまだエンジン全開とはいかず、やや線が細い印象を受けたが、それでも義父殺しの仇を討ってやるとお岩をだますところは、段四郎がいかにも下僕あがりという身分のいやらしさが滲み出ているので、父を殺されて嘆くお岩・お袖の姉妹をせせら笑う二人の悪が大きくなる。

続く第二幕は伊右衛門の浪宅と伊藤喜兵衛内の場を交互に見せて、金満家の伊藤家の婿におさまることを承知した伊右衛門と、それとも知らず伊藤家から血の道の薬と偽って届けられた毒薬を飲んで、お岩の相貌が一変してしまうこの狂言の一つの山場である。吉右衛門はもう完全に色と欲の虜となり、お岩をいたぶり金目のものをありったけ取り上げてしまうところは憎々しげである。ところが、肝心の福助のお岩が、まったくの期待外れである。台詞が絶叫調になっているうえ、髪梳きのところなど変な声を出し、まるで笑いを取ろうとしているとしか思えない。先人の工夫の髪梳きが台無しである。これでは怪談になろうはずがない。歌六が丁寧だけにかえって気の毒である。福助は小仏小平も武張った口跡もわざとらしく気になる。

救いは隠亡堀のだんまりが古典的な装置も含めて、これぞだんまりという絵になっていることだろう。もちろん、その前に吉右衛門は、段四郎との悪人同士の駆け引き、そして戸板返しも見せてくれる。しかし、短い蛇山庵室の場もどうもお岩の亡霊に怖さが無く、仇討の場で本日はこれ切りとなるが、消化不良の通し狂言の印象はぬぐえなかった。

【2008. 05. 21 (水)】 author : 六条亭
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『渡海屋・大物浦』−團菊祭昼の部の感想
遅くなったが、十日に観劇した團菊祭の昼の部の簡単な感想。

『渡海屋・大物浦』

昼の部で一番の注目であった海老蔵初役の渡海屋銀平実は平知盛。偶然なのか意図してなのか分からないが、六月は吉右衛門のすし屋が出て、七月はまた海老蔵の狐忠信が出るので、『義経千本桜』の大部分を海老蔵で観ることが出来ることになる。そのなかでも世話物の銀平と時代物の知盛の対照的な役柄の演じ分けやいかに、と思っていたこの舞台、知盛が『船弁慶』の亡霊のように、平家の没落を一身に背負って、禍々しいまでにすさまじい怨念を放出していたのには驚嘆した。

銀平の部分は厚司姿はなかなか板についていたが、世話の台詞回しが今ひとつ安定せず課題を残したものの、後半の白装束と隈取の姿は舞台に出てくるのみで、強烈なインパクトを与える美しさである。だから、碇の綱を体に巻きつけての入水は、一種の滅びの美とでもいうのだろうか、凄絶なものがあった。この若さで知盛をここまで演じ切った海老蔵には無限の可能性を秘めた天性を感じた。魁春の典待の局は、出しゃばらず品のよい点はよかったが、この人の時代物でよく出るややぎくしゃくした台詞回しが気になった。いずれにしてもこれは海老蔵を観る舞台。

『喜撰』

これは踊りの名手三津五郎の大らかで飄逸味のある舞踊を楽しむだけで十分目の保養になる。加えて時蔵のお梶も色気十分で、若手出演の所化ともども華やかさを増していた。なお、「釈迦牟尼佛」の鉦のくだりははじめて観た。

『幡隨長兵衛』

團十郎の長兵衛、菊五郎の水野十郎左衛門の顔合わせに加えて、藤十郎が長兵衛女房お時で付き合う豪華な舞台。子分たちに三津五郎をはじめとして権十郎、松緑、海老蔵などこれまた賑やかな顔ぶれであったから、あっという間に観終わってしまった感じである。

なお、「公平法問諍」の舞台番の役で市川新七あらため四代目市川新十郎の名題昇進の披露が公平役の市蔵からあった。

【2008. 05. 19 (月)】 author : 六条亭
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