徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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玉三郎さんが語る琳派の魅力ー大琳派展記念座談会
一昨日開催された大琳派展の記念座談会の簡単な内容。

大琳派展の記念座談会は、下記リンクにあるように継承と変奏と副題されて尾形光琳生誕350周年記念の大々的な展覧会で、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一の有名作品がたくさん展示されている。平日でも大盛況の混雑ぶりで、その人気には驚くばかり。

大琳派展−継承と変奏−

記念座談会は、玉三郎さんを中心にして親交のある細見良行氏(細見美術館館長)と企画した東京国立博物館の田沢裕賀氏の三人により琳派の魅力、そして琳派と歌舞伎の関係を語る楽しい内容だった。

玉三郎さんが琳派に興味を持ったのは、「切られ与三」(『与話情浮名横櫛』)の源氏店の場で番頭の藤八が酒井抱一の掛け軸をほめる台詞にはじめはただ「そうなんですよ」と言っていても意味が分からなかったそうである。それで抱一の軸はどんなものだろうと興味を持ちm、細見氏のご両親に教えられて、とくにお母様から数を見なさいと言われて見るようになったとのこと。

そうすると歌舞伎の衣裳や装置の屏風に使われているものが多くは琳派風だったことに気づき、だんだん勉強していったようである。座談会ではスライドを使い、玉三郎さんのお富やお夏狂乱のお夏などの舞台写真も多く映されました。その結果、専門家の細身氏が気がつかなかったような絵のなかの糠袋に気づいたり、抱一の有名な「夏秋草図屏風」を見て、描線が左に流れているから抱一は自分と同じ左利きではないかと推理するなど造詣の深さを語っていた。美しいものを数多く見ることにより、その真贋を見極める力をつけたことが玉三郎さんの独自の美意識の形成に役立っていることがよく分かる貴重な話が多かった。

美人画はS字型に描かれれていれば美しいとも語っていたことも、スライドの説明とともに説得性のあるものであった。また光琳の水墨画もたいそう好みだそうだが、最近は下絵を書ける職人さんが少なくなったとのことであった。

以上のようなことを語る玉三郎さんはとても楽しそうで、後ろ向きになりながらスライドにペンライトを当てて説明する姿も綺麗な形に決まっていたのはさすがである(^^)。

【2008. 10. 31 (金)】 author : 六条亭
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仁左衛門の由良之助−平成中村座『仮名手本忠臣蔵』の感想(その三)
書きかけのまま中断していた平成中村座『仮名手本忠臣蔵』の感想。仁左衛門の由良之助について簡単にまとめたい。

Aプログラムは、四段目の主役は切腹する塩谷判官とともに切腹の場面に慌ただしく駆け込んでくる大星由良之助である。切腹の後その焼香、そして諸士たちと館の明け渡しをめぐって緊迫の応酬の評定、最後は師直への復讐の決意を明らかにして、館を明け渡す。この四段目は大変重要な場面だが、その厳粛な内容もあってともすれば観客も緊張感が持続しない。しかし、今回は仁左衛門が由良之助を演じたことにより、重厚でありながら由良之助の人間像が的確に表現されて、感銘深い場となった。

仁左衛門は切迫した状況にようやく間に合ったというとばかりに花道の出からよろめくように、しかしまさに息せき切って駆け付けてくる。待ち侘びた判官が形見として腹切り刀の九寸五分を渡すとその表情から無念の思いを悟り、畏まって平伏して受ける。しかし、切腹して果てた判官の刀はしっかりと握り締められていて、簡単に取ることが出来ない。ここで仁左衛門は主君判官の手をいとおしそうに、またさぞ無念であったろうとの万感の思いをもって一本一本指を開いてゆき、形見の刀をわが手に押し抱くのである。今わの際の判官が家老に寄せた全幅の信頼とそれに応えて主君の無念さをひしひしと感じる由良之助が見事に表されている。

そして判官の死を弔う儀式があり、その後の評定が忠臣を装いながら吝嗇で卑怯な斧九太夫との対比で由良之助のきっぱりとした決意が、足利の討手と戦うといっていきり立つ諸士を心服させ、統率者としての人間の大きさを見せる。館明け渡しは、名残を惜しみながら、形見の刀に残る判官の血をなめて仇討の決意をあらたにする引っ込みが哀愁と同時に男の器量を感じさせた。

Bプログラムでは七段目の『祇園一力茶屋』の由良之助も、祇園での遊興に耽りながら、主君の仇を討つという内心を韜晦させている。この遊興ぶりと本性の切り替えが仁左衛門の由良之助は鮮やかである。例えば酒に酔いながらも密書を持ってきた子息の力弥に対するところの鋭い表情、またはその密書を読んでいるところをおかるに見られていて、実は寝返っていた九太夫が床下に潜んで読んでいたことに気がつき、今度は一転しておかるを身請けすると酔いにまぎらわせて約束するところのじゃらつき方などである。史実としての内蔵之助はさておき、ここでは仇討の計略のために遊興している仁左衛門の由良之助像が何とも魅力的である。

Bプログラムは十一段目に討ち入りに炭部屋で本懐を遂げた後、引き揚げの場が出る。文字通り本懐を遂げた後の引き揚げる浪士たちを統率する由良之助の表情も万感こもる晴れやかなものである。今回の通し狂言『仮名手本忠臣蔵』は、仁左衛門の由良之助と加古川本蔵の二役を得ることによって、非常に完成度の高い舞台となったことは特筆される。

肝心の座頭の勘三郎ほかの役者については、記事をあらためて書きたい。

【2008. 10. 30 (木)】 author : 六条亭
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「大琳派展」記念座談会
200810291521001.jpg

とても久しぶりに国立博物館に来ています。大琳派展観覧です。もちろん、玉三郎さんが出席した記念座談会に出るためです(笑)。

琳派の美と玉三郎さんの美意識の意外なつながりを知った貴重なものでした。詳しくは追って。
【2008. 10. 29 (水)】 author : 六条亭
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今年の文化勲章受賞者、文化功労者
今年の文化勲章受賞者と文化功労者が発表された。

毎日jp記事

ノーベル賞受賞者の方々が文化勲章受章者に入っているので、今年は8人と多い。文化勲章では世界的指揮者の小澤征爾氏と作家の田辺聖子氏、日本文学のドナルド・キーン氏がその音楽を聴いたり、また小説や評論を読み親しんでいるので、受賞は当然と思う。ドナルド・キーン氏は正確には純粋な外国籍の方でははじめての受賞である。日本文学を海外に知らしめた功績は大きい。

文化功労者のなかでは作曲の一柳慧氏、俳句の金子兜太氏、経済社会学・社会変動論の富永健一氏、言語学の西田龍雄氏、バレエの牧阿佐美氏、作曲の船村徹氏、狂言の野村萬氏、歌舞伎の中村富十郎氏のお名前が親しみがある。とりわけ天王寺屋富十郎さんの文化功労者には拍手である。

皆さまには心よりおめでとうございますと申し上げたい。

JUGEMテーマ:日記・一般
【2008. 10. 28 (火)】 author : 六条亭
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新橋演舞場の三月は『獨道中五十三驛』
歌舞伎座の来年からのさよなら公演の影響があるのだろうか、新橋演舞場の三月弥生花形歌舞伎公演の内容が早くも歌舞伎美人に出ている。澤瀉屋一門と門之助によるによる師匠猿之助の十八番の上演である。大変面白そうなのであるが、歌舞伎座のさよなら公演の演目などが判明してから、懐と相談してから考えたい(^_^;)。

市川猿之助十八番の内
『獨道中五十三驛』(ひとりたびごじゅうさんつぎ)
市川右近十五役早替りならびに宙乗り相勤め申し候
平成21年3月4日(水)~23日(月)

出演
市川 右 近
市川 猿 弥
市川 春 猿
市川 寿 猿
市川 弘太郎
市川 段治郎
市川 笑三郎
市川 笑 也
市川 門之助

【2008. 10. 28 (火)】 author : 六条亭
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新橋演舞場の初春花形歌舞伎の演目と配役の発表!
既に一部では演目情報が出ていた新橋演舞場の初春花形歌舞伎の演目と配役が歌舞伎美人に発表された。海老蔵が今年に引き続き座頭格で出演し、獅童と門之助、澤瀉屋一門が共演し、左團次が支えるという布陣である。チラシは、こちら

演目としては昼の『義経千本桜』は今年初役の碇知盛、三回目の四の切を演じて、いずれいがみの権太をやりたいと言っていた本人の希望が早くもかなえられることになる。夜は弁天小僧が半通しで楽しみである。

昼の『口上』では市川宗家がお正月に邪気をはらうとしてとして「にらみ」を見せる。また夜の部『歌舞伎十八番の内 七つ面(ななつめん)』は團十郎の『象引』(国立劇場)と歌舞伎十八番の親子競演となる。

新橋演舞場の初春花形歌舞伎
平成21年1月3日(土)~27日(火)

【昼の部】

○ 『猿翁十種の内 二人三番叟』

三番叟  市川右 近
三番叟    猿 弥
附千歳    弘太郎
千歳     笑 也
翁     段治郎

○ 『寿初春 口上』

市川海老蔵「にらみ」相勤め申し候

海老蔵

○ 『義経千本桜』

木の実
小金吾討死
すし屋

いがみの権太    海老蔵
梶原平三景時    獅 童
若葉の内侍     笑 也
女房小せん     笑三郎
娘 お里      春 猿
主馬小金吾     段治郎
弥助実は三位中将維盛   門之助
鮓屋弥左衛門    左團次

○ お祭り

鳶頭    海老蔵
鳶頭    獅 童
鳶頭  市川右 近
鳶頭    猿 弥
鳶頭    段治郎
芸者    春 猿
芸者    笑三郎
芸者    笑 也
芸者    門之助


【夜の部】

○ 『歌舞伎十八番の内 七つ面(ななつめん)』

海老蔵

○ 『恋飛脚大和往来』

封印切

亀屋忠兵衛    獅 童
傾城梅川     笑三郎
槌屋治右衛門   寿 猿
丹波屋八右衛門  猿 弥
井筒屋おえん   門之助

○ 『弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)』

白浪五人男

序 幕 雪の下浜松屋の場
    稲勢川勢揃いの場
大 詰 極楽寺屋根立腹の場
    同山門の場
    滑川土橋の場

弁天小僧菊之助/青砥左衛門藤綱    海老蔵
南郷力丸    獅 童
赤星十三郎   春 猿
忠信利平    段治郎
鳶頭清次  市川右 近
日本駄右衛門  左團次


【2008. 10. 27 (月)】 author : 六条亭
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十月大歌舞伎千穐楽昼夜通し観劇
200810261036000.jpg
今日はいくらか気温が低く晩秋の気配です。

最近恒例となっている千穐楽の昼夜通し観劇です。
【2008. 10. 26 (日)】 author : 六条亭
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山川静夫『歌舞伎の愉しみ方』(岩波新書)の刊行予定
今年創刊70周年を迎えた岩波新書は多くの話題の新刊を刊行しているが、来月11月のの新刊予定8点のなかに、山川静夫『歌舞伎の愉しみ方』が入っている。

岩波新書来月の新刊(11月20日発売予定)

ご存じ山川さんが、歌舞伎を愉しむコツを伝授いたします。「決まりごと」の数々から名優・名舞台の息遣いまで、練達の筆で綴る格好の入門書です。

右サイドバーのおすすめ本である坂東三津五郎の本と題名が似通っているのが難点であるが、山川氏の新しい著作の新書での刊行は大いに歓迎したい。

なお、まったく余談であるが、昨年好評のうちに完結した東京創元社の戸板康二『中村雅楽探偵全集』の全巻購入者に対する特典の小冊子がようやく到着した。『車引殺人事件』の原型版ならびに江戸川乱歩との座談会「推理小説について」等が収録されている。編者の「楽屋裏より」の言葉では、追って創元推理文庫から「戸板康二推理全集」(仮)として中村雅楽もの以外の戸板ミステリーが集大成される予定とのことである。これは朗報である。期待して刊行を待ちたい。

JUGEMテーマ:読書
【2008. 10. 24 (金)】 author : 六条亭
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勘太郎の二役−平成中村座『仮名手本忠臣蔵』の感想(その二)
昨日予定外で観劇したDプログラム、若手中心の配役であるから、どうしてもチケットの優先順位が一番後になり、一旦は観劇を見送った。しかし、ひょんなことからチケットを譲っていただき観劇できたが、これが予想以上に素晴らしかったと思う。

それは勘太郎が勘平と平右衛門の二役を演じたという点と、六段目で仁左衛門の不破数右衛門、勘三郎の判人源六が脇で支えるという通常の公演では考えられないような配役によるところが大きい。一文字屋お才の孝太郎もなかなかのものである。

勘太郎は筋書でプレッシャーがあると言っていたが、それはそうであろう、この配役では。しかし、観劇した日はそのプレッシャーが逆にいい方向に出ていて、勘平そのものになりきっていたから、その悲劇をあますところなく演じていたと思う。型が細部まで詳細に出来ている勘平はともすれば型を演じるのに手一杯になるのであるが、勘太郎はこの日は流れるように決まっており、それが勘違いから起こった悲劇をより膨らませていたと思う。

仁左衛門の不破は大きく情があり、対して勘三郎の源六はまさに女衒そのものの短気でそそっかさ。亀蔵の千崎弥五郎も手堅く、加えて歌女之丞ののおかやがこの人の真価を見せた老母で、勘平を盛り立てていた。

七之助のお軽は六段目ではしっとりとした女房ぶりで、七段目のおかるの華やかさとあわせて女形としての成長を印象付けた。

勘太郎の平右衛門はやや張り切りすぎの点は割り引いても、勘平を演じた役者がそのまま演じたとは思えない好人物になっていた。勘太郎と七之助の兄弟が兄・妹を演じるのだから、どこか二人のやり取りは微笑ましい。

橋之助は、仁左衛門に習った点がよく分かるいいの由良之助だが、台詞が酔態と本性が切り替わるところなど一本調子の点があり、まだまだ工夫がいるだろう。松之助の伴内はこの公演ですべて演じている役であるが、さすがにヴェテランの味で秀逸である。ほかにこのDプログラムのみ出演の鶴松の力弥が自然体で、爽やかな若衆になっていた。

【蛇足】この日はハプニングが二つ。一つは七段目で七之助のおかるの簪が、鬘から早く抜けてぶら下がってしまったこと。狂言の進行上大事なものであるから、少々残念だった。二つ目は、竹本の鶴澤寿治郎の三味線の皮が破れたこと。六月にも私は『新薄雪物語』で経験している。今回は早々と三味線を替えて弾き続けることができたから気が付かなかった観客の方もいたと思うが、短い期間に二度も遭遇するとは珍しいことであろう。

【2008. 10. 23 (木)】 author : 六条亭
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平成中村座Dプログラム観劇
200810221914000.jpg
今日は予定外で急遽Dプログラムを観劇。これで全プログラム観劇を制覇です。
【2008. 10. 22 (水)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(4) | trackbacks(0) |
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