徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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『NINAGAWA二夜』凱旋公演の感想
7日に観劇した『NINAGAWA十二夜』凱旋公演の初日はどうも物足りなくて、感想をまとめるのが気が進まず、28日の千穐楽観劇を迎えてしまった。しかし、幸いなことに千穐楽観劇は十分満足できた。以下、初演と再演を観た目から簡単に感想を書いておきたい。

平成十七年七月の初演時は鏡張りの装置や菊之助の三役など今までの歌舞伎にない新鮮な美しさに魅了されたが、シェイクスピアの台詞の翻訳臭さが残り、また全三幕十八場が若干冗長であったため、再演でさらに整理されることが望まれた。それが二年後の再演で見事に果たされ、長唄や義太夫の使い方がより歌舞伎味を濃くし、場数も台詞も整理された。また菊之助の三役の切り替えがより滑らかになり、歌舞伎の演目として完全に定着化したと高く評価できた。詳しくは拙HP「六条亭雑記」の観劇記「大いなる小屋」をご参照ください。

その勢いをかって、今年3月に本場ロンドンでの公演を実現し、今回の凱旋公演となった訳である。したがって、本公演は、あくまでロンドン公演ヴァージョンとまず理解すべきであろう。

まず大きな違いは上演時間にある。初日観劇の記事のとおり、前回公演時に比べて約30分も短縮している。場数も整理・統合されて全二幕十五場となっている。したがって、台詞もかなりカットされていると思う。また第八場の紀州串本・港の場にあった義太夫がなくなり、第二幕第一場の菊之助の踊りも再度振付けなおされていて、より短くなっていた。

以上の点に加えて、初日には新橋演舞場の舞台装置の問題であろうか、舞台転換が円滑でなく、また舞台の作り込みの雑音が演技中にも聴こえていて、観る方が集中する妨げになっていたように思う。さらに役者も手馴れた役とはいえ、初日ゆえの固さとアンサンブルの不足が目に付いて、どこかゆるい印象を受けた。

しかし、さすがに千穐楽は違っていた。たしかに歌舞伎味はいささか後退しているものの、テンポアップしており、もつれた恋の糸を主筋とし、坊太夫いじめの脇筋がうまく絡み合い、だれることなく一気に大詰めまで楽しむことが出来た。黒御簾の演奏が増えるとともに、ハープやヴァイオリンソナタの音量は比較的抑え目になっていた。

菊之助の三役は、とくに主膳之助がより凛々しくなっていて、琵琶姫と獅子丸の男女の自然な切り替えもあり、三役の演じ分けがさらにくっきりとしていた。菊五郎の二役はどちらも見事であるが、本来の歌舞伎にはない道化役の捨助にこの人の藝の懐の深さを見る思いであった。時蔵の織笛姫は、今回赤姫の衣裳に黒の紗を羽織っているという違いもさることながら、この十二夜という戯曲の構造上一方の主役であることを明確に打ち出したものになっていたのは大きな変化であった。時蔵は品格といい、巧まざるユーモアといい、この役をぴったりである。錦之助も恋に懊悩しながらも格の高さを見せた貴公子振りであった。

左團次、亀治郎、翫雀、團蔵のコミック・チーム(と私は勝手に名づけているが)も、快調。女形の常識を覆した亀治郎の麻阿はさらにパワーアップしており、右の口元のほくろや舞台前に座って見得を切るところは今回の変化。楽日は坊太夫を竹刀でうつところでパンチを振るってもいた。左團次は楽日に「サドマゾ大好き、ろうそくたらーり、たらり」などとアドリブで周りを笑わせていた。翫雀も英国テイストの英竹で、楽日は思い切りハッスルしていた。

カーテンコールは二回あったが、観客の拍手は終わることなく、場内アナウンスがあっても帰る観客も少なく、やがて菊之助一人が盛大な拍手に迎えられて三回目の登場(どうも帯を押さえていたようであるから、予定外だったようだ)で、満員の観客に深々とお辞儀をして幕を閉じた。

個人的には再演ヴァージョンがもっとも歌舞伎とシェイクスピアを巧みに融合したものとして高く評価することには変わりはないが、今回の言わばロンドン公演ヴァージョンも『十二夜』の面白さを簡潔に翻案したものとして称えられるであろう。

【2009. 06. 30 (火)】 author : 六条亭
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ETV特集 「富十郎親子 勧進帳に挑む」の放送予定
5月27日(水)に歌舞伎座で開かれた第九回矢車会は、私は夜の部の『連獅子』を目当てに観劇した(その時の感想は、こちら)。昼の部では富十郎親子に吉右衛門が共演した『勧進帳』が上演された。富十郎が傘寿記念として弁慶を演じ、こちらも大変話題になったものである。この日はNHKのテレビカメラが入っていたので、いずれ昼夜の演目とも放送を期待したいが、まずは矢車会までの二ヶ月に密着したETV特集が放送される。傘寿で弁慶を演じる困難さ、そして十歳の子息鷹之資が義経をいかに演じるか?歌舞伎ファンには見逃せない特集であろう。

ETV特集 弁慶の復活 〜 中村富十郎親子 勧進帳に挑む

・7月5日(日)午後10時〜11時 NHK教育テレビ



【2009. 06. 30 (火)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(4) | trackbacks(0) |
サイモン・ラトル&ベルリン・フィルのブラームス交響曲全集の発売予定
最近ベルリン・フィルは芸術監督サイモン・ラトルとの契約を6年間延長して、2018年までとする発表があったばかりであるが、そのラトルとベルリン・フィルによるブラームスの交響曲全集が発売されることになった。しかも、

・日本盤のみ180分の全曲演奏映像とラトルのインタビューのDVDが2枚も付く特別仕様
・HQCDの特別仕様
・日本盤が先行発売で、CD3枚+DVD2枚が超特別価格6000円

という信じられないような内容のものである。

詳細は、下記サイモン・ラトルのオフィシャル・サイトをご参照ください。

サイモン・ラトル オフィシャル・サイト



【2009. 06. 29 (月)】 author : 六条亭
| クラシック音楽 | comments(0) | trackbacks(0) |
昨夜の第35回俳優祭のテレビ放送は…
昨夜は、日経ホール開場記念「坂東玉三郎特別舞踊公演」観劇で、静謐ななかにも女の情念がこもる『雪』と艶やかで可愛らしい『藤娘』を堪能した後、帰宅した。帰りの電車が思ったより順調に乗換えが出来て、帰宅できたので、ちょうどはじまっていた『第35回俳優祭』のテレビ放送を、もちろん予約録画はしていたが、ながらで観ているうちの面白くなり、とうとう最期まで観てしまった。

この映像はほとんど夜の部を中心にして編集されていたようで、舞踊二題、模擬店、そして『灰被姫 シンデレラ』をナレーションでつないで、当日の雰囲気をうまく伝えた構成になっていた。新作のためであろう、最近では珍しく『灰被姫 シンデレラ』の稽古風景を見せていたのも役者さんの慣れない役の苦心も分かりよかったように思う。

俳優祭を昼夜で観劇した私もこの放送は、客席ではよく分からなかった細部がよく見えて、当日の舞台の様子を思い出しながら楽しく観ることが出来た。とくに『灰被姫 シンデレラ』は、出演の役者さんも熱演しながら自らも楽しんでいたようである。

拙ブログ記事も、お蔭様で放送時間中に多くのアクセスをいただいたようで、テレビ観賞のお手伝いが少しはできたかもしれない。拙感想記事は不備な部分もあるが、コメントにて補足いただいた点もあるので、あえてそのままとして、下記にまとめてリンクしておきます。

『灰被姫 シンデレラ』−賑木挽町戯場始−第35回俳優祭の感想(その一)

舞踊二題『狸八島』『おまつり』−第35回俳優祭の感想(その二)

お楽しみ模擬店−第35回俳優祭の感想(その三)

なお、竹本の作曲、語りを担当した竹本葵太夫の俳優祭についての苦心談と感想が大変参考になるので、下記のリンクから「つねひごろ」の俳優祭(5/5)に進んでください。

歌舞伎義太夫 竹本葵太夫

【2009. 06. 27 (土)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(6) | trackbacks(0) |
日経ホール開場記念『坂東玉三郎特別舞踊公演』観劇
特別舞踊公演チラシ(縮小)

坂東玉三郎 特別舞踊公演

この特別舞踊公演は、当選者のみの公演。何通も応募ハガキを出しましたが、くじ運の悪い私は案の定外れてしまった。しかし、ある方のご好意で、幸運にも観劇できることになりました!観劇できない方々の分までこれからしっかりと観てまいります。



【2009. 06. 26 (金)】 author : 六条亭
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『女殺油地獄』−六月大歌舞伎昼の部(二回目)の感想
17日に二回目の観劇をした昼の部の感想。やはり仁左衛門の一世一代の『女殺油地獄』の尽きるので、それについて簡単にまとめる。

『女殺油地獄』

最初の幕は、お吉・お光親娘(孝太郎と千之助)が参詣に来て、父親と待ち合わせている。そこへ与兵衛が遊び仲間とともに馴染みの芸者小菊と一緒の客を待ち受けにやってくる。仁左衛門は大店のぼんぼんが遊蕩三昧という柔らかな雰囲気を持っている。お吉とのやりとりでもお吉が年上で、与兵衛に好意を持っていてその行状を心から心配しているのが分かるのは孝太郎の台詞のうまさである。

しかし、与兵衛はそんな心配はおかまいなし。馴染みの芸者小菊の客を相手に大喧嘩をしてしまい、挙句の果てに与兵衛が投げ付けた泥が伯父山本森右衛門(彌十郎)の主君の侍(新悟)にかかってしまう。申し訳に首を斬ると激怒する伯父に震え上がる与兵衛。ここは見栄っ張りの駄々っ子が心から怖がっているさまをうまく見せている。お吉が進んで汚れた着物を洗ったことが夫七左衛門(梅玉)の嫉妬を買ったことが、第三幕への伏線になっている。花道で羽織で顔を隠して引っ込むところも仁左衛門は柔らか味がよく出ている。この場は松嶋屋三代の共演も見もので、千之助のお光も可愛らしい。その他に新悟が凛としている。

二幕目の河内屋の場では、与兵衛は荷商いから帰って来るが商売に精を出さず遊蕩三昧、嘘を言って継父(歌六)から金を引き出そうとするばかりか、妹おかち(梅枝)を使って身代を受け継ごうとする、やりたい放題。親の心子知らずで、ついには二人に暴力までふるう。変幻自在の仁左衛門の演技には、ただただ感嘆。柱に寄りかかっている風情や腹ばいになって髪をなおす仕草は、若さと形の美しさがある。

この場では、歌六が先代の子として遠慮しながらも放蕩息子を何とかしなければと心を砕いている継父の心情をうまく見せ、秀太郎の母親は気丈さと子への愛情の両面をしっかりと表現している。梅枝のけなげな妹も光る。とうとう勘当されても、虚勢を張って引っ込む与兵衛に家族それぞれの思いがほの見える。

三幕目の豊島屋の場では、鳥屋の揚幕の音をさせずに与兵衛の出がある。頬かむりしていかにも虚無的な姿。しかも抱えている借金は返済の目処はないのに、男を立てるために返済を約束してしまう。その後歌六と秀太郎夫婦ともにお互いに内緒で与兵衛にために店の金をお吉に預けようとする。出来の悪い子供ほど親は可愛いという絵に描いたような話であるが、二人のうまさに思わずほろっとしてしまう場面である。しかし、与兵衛はその親の気持は十分分かり、改悛すると言いながら、返済の金が足らずお吉に借金を頼み込み。お吉は夫の手前もあり拒絶すると、とうとう与兵衛は金をとるために商売物の油が樽から流れ出るなかお吉を惨殺する。与兵衛が凶行におよぶきっかけになる鐘の音が観る側にも強く響き、印象的である。また義太夫三味線の不協和音がこの凄惨な殺しの場面に相応しくずっしりと耳に残る。

仁左衛門は金を借りるのに一生懸命でありながら、不義を迫ったり、殺しを決心すると目付きがあやしく変わり、果ては愉しむようにお吉をなぶり殺しにする。狂気すら感じさせる、凄まじい演技である。殺しの後我に帰った与兵衛は急におのれが犯した罪に慄きながら引っ込んで幕となる。このような与兵衛はもう観ることは出来ないだろうと思いつつ席を立って歌舞伎座を後にした。

【2009. 06. 25 (木)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(16) | trackbacks(1) |
飯嶋和一『出星前夜』を読む
評価:
飯嶋 和一
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¥ 2,100
(2008-08-01)
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Amazonおすすめ度:
全ての人が平等で平和に生きる社会の難しさ
税の禄をはむ者の無力さ
信仰心の力、信仰心の限界を見ました

飯嶋和一という作家は以前から気になっていた一人である。私は若い頃転勤で短い期間であるが、長崎に勤務していたことがある。その時に長崎が日本史上にはたした大きな役割を、肌身で実感した。史跡等を巡らなくても、街の至るところ歴史の痕跡が残っているのである。したがって、戦国時代から幕末まで、キリシタン禁制の問題も含めて相当関心をもって歴史書や文学作品を読んだ。

だから末次平左衛門を主役にした前作の『黄金旅風』を読もうと思っているうちに本書『出星前夜』が出版された。順番から言えば逆であろうが、島原の乱を描いた「大佛次郎賞」受賞の本書から読むことにした。しかし相当なヴォリュームのある長編であるうえ、図書館のリクエストの順番待ちで相当待たされた。読み始める前は読了までにかなり時間がかかるだろうと思っていたが、読み始めたらそれは杞憂であって、二日間で一気に読み終えた。おそらく近年の歴史小説のなかでも稀にみる大きな成果を上げた傑作であろう。ずっしりとして深い感動が残った。

本書は島原の乱を描いた歴史小説に分類できる。しかし、天草四郎が主役ではないところが異色である。秀吉の朝鮮出兵に従軍した後帰農した土豪(庄屋層)に属する人たちの代表としての鬼塚監物と、ポルトガル人の血を受け継いだ若者(寿安)が主役である。そして、島原、天草の農民たちが蜂起したのは、キリスト教の信仰の問題もさることながら、領地支配大名たちが行った苛斂誅求の支配であり、その根本原因は徳川幕藩体制にあることを支配される側から鋭く抉った小説なのである。

しかも作者の筆は周到かつ細密なもので、登場人物たちの人間像をしっかりと描いていて熱い。圧政から貧困にあえぐ農民たちのなかで、子供たちが熱病に罹り、その治療に名医の修道士から手ほどきを受けた若い医師を、自らの村へ監物(甚右衛門)が礼をつくして呼んで来て治療にあたってもらうことから、その発端を書き起こしている。ところが地元の代官手代はその医師をすげなく帰してしまい、領主松倉家は天災による不作にもかかわらず収穫高を大きく水増しして搾取していることが分かってくる。甚右衛門は身を粉にして農民たちに協力させて、年貢を納めるようにしてきた。しかし、止まない苛政に若者が立ち上がる。寿安を頭領にして、自然と若者だけの場所を作る。このあたりは、村から縁を切り、悪人になっても若衆宿を作るのは、網野義彦氏の『無縁・苦界・楽』のアジールにつながっていて、興味深い(しかも、最初彼らの使う武器が、飛礫(つぶて)である)。

その若者たちを押さえつけようとして松倉家の支配者層はお粗末にも失敗し、その誤りを一度は棄教したキリスト教に彼らが戻ったことにすり替えたことから、甚右衛門はじめ庄屋層もついに立ち上がり、その動きが天草に波及して、島原の乱になってゆく過程をダイナミックに描いて行く。もちろん、キリスト教への信仰が根付いていたことが底流にあることは間違いないが、圧政下にあった農民たちの根源的なエネルギーがキリスト教を媒介にして噴出したと言える。原城へ立てこもった人たち(蜂起勢)と徳川討伐軍との戦いもまさに戦争ともいえる苛烈なものだ。そして蜂起勢が掃討されて島原の乱は終わりをつげるが、救いは寿安が医師の仕事を手伝うことにより、生命の大切さを知り、自らも名医となって生涯を全うしたことである。

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【2009. 06. 24 (水)】 author : 六条亭
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八月新橋演舞場『石川五右衛門』、ようやく制作発表!
20日のゴールド会員の前売時にはまだ詳細が分からないまま発売された八月の新橋演舞場歌舞伎公演『石川五右衛門』(仮題)、明日24日の一般発売を前にして、ようやく制作発表会見が行われたようだ。私もチケットを購入したクチであるから、あまり文句を言える立場ではないが、海老蔵人気を当て込んだ強気の興行である。

初めての漫画原作歌舞伎「石川五右衛門」海老蔵が主演(産経ニュース)

原作は、『金田一少年の事件簿』で知られる樹林(きばやし)伸氏。はじめて漫画を原作にした新作歌舞伎になる。漫画と歌舞伎がはたしてうまく融合できるか?その舞台成果の行方が注目される。なお、團十郎の豊臣秀吉、七之助はお茶々を演じることも分かった。

【2009. 06. 23 (火)】 author : 六条亭
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ガーディナーのドヴォルザーク交響曲第7番&モーツァルトのミサ曲ハ短調(DVD)
以前に発売予告を書いた2008年のノーベル賞記念コンサートの映像がDVDで発売された。指揮はサー・ジョン・エリオット・ガーディナーで、久しぶりの映像ソフトである。物理学賞を受賞した日本の益川敏英氏と小林誠氏がスウェーデン国王はじめとする王室をはさむ形で列席している。

さて、国王らが入場すると、オーケストラ演奏により国王歌が斉唱されたようである。スウェーデンの演奏会ははじめて観たので、詳細は下記による。

ノーベル賞コンサート2008〜ガーディナーのドヴォルザーク7&大ミサ(DVD)

さて肝心の演奏であるが、最初がドヴォルザーク交響曲第7番。この曲は第8番や第9番の陰に隠れて目立たないが、哀愁を帯びた美しい旋律の第3楽章とうねるような劇的な盛り上がりを見せる第4楽章など私の愛聴する交響曲の一つである。ガーディナーはヴァイオリンを左右対抗配置にして、激しく緊張感溢れる指揮ぶりで、この曲の魅力を十全に表現し尽くしていたと思う。

モーツァルトのミサ曲ハ短調は、合唱に手兵のモンテヴェルディ合唱団に、エリク・エリクソン室内合唱団も加わる万全のものである。モダン・オーケストラの演奏では不可避のやや重い印象はあるものの、お得意の曲であるから透明な合唱は相変わらずの素晴らしさ。この合唱を聴くのみでもこのDVDは十二分に価値がある。ソリストは、ソプラノのパーションが清楚で可憐な歌いぶりで、魅了された。この曲はソプラノの出来で決まるから、アルトや男性ソリストは物足りない点もあるが、総合的には高い水準の演奏である。

なお、ガーディナーは、手兵のイングリッシュ・バロック・ソロイスツとのピリオド楽器による演奏もDVDで出ている。そのレビューは、拙本HP「六条亭雑記」の「クラシック音楽の森」にアップ済みである。

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【2009. 06. 21 (日)】 author : 六条亭
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映画『スター・トレック』を観る
スター・トレック オフィシャルサイト

久しぶりにSF映画を観に行った。話題のスター・トレックの新作である。元々私は『2001年宇宙の旅』『猿の惑星』以来のSF映画ファンである。だから、もちろん『スター・ウォーズ』は全作品観ている。この『スター・トレック』シリーズも、『宇宙大作戦』の名前でテレビ映画が放送された時から大いに愉しんだ一人である。宇宙船「エンタープライズ」、カーク船長、ミスター・スポック、医師のマッコイなどの出演者のキャラクターに親しんだ人も多いと思う。なかでもバルカン星人との混血であるミスター・スポックを演じたレオナード・ニモイは出色だった。

その後人気が出て映画化されてシリーズにもなったが、SF映画としてはあまり上出来ではなかったように思う。そこへこの新作。不安と期待が相半ばしながら観たが、SF映画としてはまずは一級品の仕上りだった。ストーリーは、言わば『スター・トレック』の前史。いかにしてカークが宇宙船「エンタープライズ」の船長になるか?またスポックはどうして?という点が丁寧に作られている。ただ、強いてあげれば以前のシリーズと辻褄を合わせようとしている部分がかえって分かりにくいのが欠点である。若いスポックと年老いたスポックの対面で、レオナード・ニモイが登場したのもオールド・ファンには嬉しいサービスであった。

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【2009. 06. 20 (土)】 author : 六条亭
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