レンタル・ビデオ店には滅多に行かないが、このテレビ・ドラマシリーズ『スパイ大作戦』が発売されていることを知り、遅まきながら行ってみた。なるほど全7シリーズ(171話)のうち、1から5までのシリーズが各巻3〜4作程度収録されて並んでいた。これを全部観るだけでも相当な時間がかかるけれども、是非観たいとまず第2シリーズの1巻目を借りてきた。
スパイ大作戦(1966-1973)
しかし、記憶というのも怪しいもので、私はシリーズの最初から観ていたと思いこんでいたが、第1シリーズのリーダーは第2シリーズ以降のリーダー、ピーター・グレイブス演じるジム・フェルプスとは異なっていたし、この第1巻目のエピソードも観てはいなかったから、人気が出てからであろうか?
何しろ007シリーズのジェームス・ボンドをはじめ、テレビドラマでも『0011ナポレオンソロ』シリーズが大ヒットし、東西冷戦下の時代ではスパイ物は現実味があるドラマだった。ましてやこの『スパイ大作戦』(原題 MISSION:IMPOSSIBLE)は、どこの誰かも分からない当局からテープ(今ではレア物の小型オープンリールデッキ!)でリーダーに指令がある。大平透の声で「おはよう、フェルプス君」で始まり、事件の簡単な説明をした後「そこで今回の君の任務だが」と実行不可能な任務の指令があり、「例によって、もちろん君、もしくはメンバーの誰かが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する」と指令が終わると白い煙が出てテープは消滅するというお決まりのパターンではじまる。
その後リーダーがメンバーを集めて作戦を練り、実行に移す。ただ、どのような作戦が実行されるのかは最後になるまで分からないのがサスペンス感一杯であった。当時としては珍しく多くの機械を存分に駆使して、メンバーたちが変装も多用しチームワークよく作戦を進めるのが何とも爽快であった。1巻目で観た一篇もよくあるパターンであるが、誘拐された科学者たちを極秘裏に救出する作戦である。閉じ込められた地下室をうまく逆手に取り、偽地震を起して脱出させるという面白さであった。
この『スパイ大作戦』(原題 MISSION:IMPOSSIBLE)のテーマ音楽がまた一度聴いたら忘れられない強烈なもので、トム・クルーズ主演で映画化された時もそのまま使われたほどである。声優陣も若山弦蔵、納谷悟朗、山東昭子、田中信夫と当時考えうる最高のメンバーである。これはこれからも時々継続して観たいと思わせた、懐かしくもまた傑作のスパイ物シリーズの復活である。