今日は私が住んでいる
町田市の市立図書館が、開催した
図書館まつりフェスタ“ぶらりライブラリーINまちだ”に参加し、オープニングセレモニーと亀山郁夫氏の講演会を聴講してきました。
今年2010年は国民読書年であるとともに、町田市立図書館のメインである中央図書館開館20周年など節目の年として、この図書館まつりが企画・実施されたそうです。今日から28日(日)の間にさまざまな催しが予定されています。
オープニングセレモニーでは、7月に公募してあらたに
市立図書館キャラクターに決まった「よむぽん」の作品を応募された方をはじめとする入賞者の表彰式がありました。この「よむぽん」、なかなか可愛らしく、小さい子供まで本に興味をもつよいきっかけになると思います。
表彰式が終了後、東京外国語大学学長で、ドストエフスキーの清新な翻訳と著作活動で知られる亀山郁夫氏による講演会を聴講しました。亀山氏は主として『罪と罰』を柱にして、ドストエフスキー文学の多彩で奥深い魅力を、分かりやすい語り口で話してくださったので、大変濃密な講演会でした。「默過」という言葉をキーワードにして、ドストエフスキーの作品が現代に通じるアクチュアルな文学であることをあらためて感じました。
亀山氏は『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』(いずれも光文社古典新訳文庫)に引き続き、現在
『悪霊』を翻訳・刊行中です。ドストエフスキーが作品中で一つの言葉でいろいろな意味を持たせていたことはロシア文学者の故江川卓氏が「謎とき」シリーズで鮮やかに解明したところですが、「翻訳ではその点をどこまで翻訳しうるか?」との質問に対して、亀山氏は事実上不可能です、と正直に答えられた点は大変好感を持てました。
亀山氏の翻訳に対しては一部では批判の声もあるようですが、いずれ機会を作って熟読してみたいものです。