徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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『河庄』『鳥辺山心中』『越後獅子』−南座顔見世夜の部の簡単な感想(その二)
『河庄』

藤十郎の治兵衛、段四郎の孫右衛門は歌舞伎座さよなら公演の一つとして昨年十月に上演されたばかりである。段四郎はまだ台詞が十分入っていなかったが、上方狂言にずいぶん馴染んでいたように見えて、違和感はなかった。寿治郎の善六は他の役者は考えられないような味の濃さがある。

藤十郎の治兵衛の捨台詞のような悪態や孫右衛門とのやり取りは南座で観劇すると観客の反応が東京とはまったく違うことに驚く。タイミングよく受けるのである。これが東京ではくどいように聞こえるから、台詞に対する反応はあまりよくないようにいつも感じていた。

上方狂言特有の粘っこさとともに、滑稽な面もあわせ持つ治兵衛の人間像の造形は父鴈治郎の藝を継承しつつ、藤十郎自身が永年にわたり工夫してきたものであろうが、今回は南座で観劇できたことにより、この狂言の面白さにあらためて気付いた格好である。

扇雀の小春は、意外にも耐える女を好演。このような役をもっと深めると新しい面が開けるようにも思うが。翫雀の丁稚三五郎は、ご馳走で大変結構である。

『鳥辺山心中』

梅玉と芝雀による半九郎・お染。梅玉は直情径行の半九郎にしては思慮ありげに見えてしまうのが少々難点だが、口跡の良さはこの新歌舞伎の主役にとてもよくはまっている。芝雀は半九郎が揚げ詰めにしているのがよく分かるような可憐・繊細な遊女。二人の晴れ着で装っての道行は哀切である。

歌六と魁春はもったいないくらいの贅沢な配役。魁春が遊女の意地を見せる。松江が南座での襲名後初出演ということだが、演技が生硬である。寿猿のお染の父与兵衛が渋く、光る。

『越後獅子』

越後獅子の手振りを主にした短い舞踊であるが、私は歌舞伎の舞台で久しぶりに観たような気がした。今回は四人の名題下を使っての派手な振りで、華やかに締める。

夜の部の感想も駆け足になりましたが、昼の部の感想は時間切れですので、追って。

本年は拙ブログを通じまして、多くの皆さまに大変お世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください。来年も拙ブログをよろしくお願いいたします。

【2010. 12. 31 (金)】 author : 六条亭
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『外郎売』『七段目 祗園一力茶屋の場』−南座顔見世夜の部の簡単な感想(その一)
今年もいよいよ明日が大晦日。大掃除やお正月の準備で大忙しの方、または帰省や旅行に出かけた方も多いでしょう。かくいう私も今年は押し迫ってからの忘年会も続き、またお正月の準備の手伝いなどで慌ただしく、七日〜八日に観劇した南座顔見世の感想もまとめ切れないまま今日まで来てしまいました。

そこで以下、簡単な感想とさせていただきます。

京の年中行事當る卯歳 吉例顔見世興行は事前の予想をはるかに越えてヴォリューム感一杯の舞台。終演が午後10時40分というのも東京では考えられない遅さである。地元の方でも帰宅できるのだろうかと心配になる時間である。

『外郎売』

海老蔵の怪我による休演で急遽愛之助が代役を勤めた、ある意味で大変話題になった舞台である。しかも、この『外郎売』は市川宗家以外には松緑が演じたことがあるのみで、まさに市川家の専売特許のような演目である。それを上方歌舞伎出身の愛之助が演じた意味は大きい。

見どころ・聴きどころは外郎売りの口上、早口の言い立てである。この点は愛之助はまことに口跡爽やかに見事にこなしていて、とても初日直前に指名されたとは思えない出来である。天晴れと言いたい。曽我狂言であるから、曽我五郎の正体を現してからの荒々しさも十分である。

共演は澤瀉屋一門の笑三郎、春猿の大磯の虎、化粧坂少将が美しく好一対である。猿弥の小林朝比奈もおおらかな味がある。孝太郎の舞鶴はもう少し柔らかさが欲しい。段四郎の工藤祐経は、この若手の中に入ると一段と大きく見えるのは藝の力か。

『仮名手本忠臣蔵 七段目 祗園一力茶屋の場』

平成19年2月歌舞伎座で通し上演された時と同じく、吉右衛門の大星由良之助、玉三郎の遊女おかる、仁左衛門の寺岡平右衛門と、今望みうる最高の顔合わせ。これが南座顔見世で実現したのは、歌舞伎座閉場の思わぬ余波であろう。今回は九大夫との酒盛りで、見立てもあった。

吉右衛門は、遊蕩ぶりを見せる酔態はまさに春風駘蕩で、本心からの遊びと見える。しかし、仇討の本心を見せる鋭い眼差しは切り替えの早さが見事である。しかも仇討の中心人物としての器量・大きさもこの人ならではのものであろう。

玉三郎の遊女おかるは、若い頃から当たり役にしているものだが、年齢を感じさせない美しさと可愛らしさがあり、絶品。おかるは腰元から勘平の女房、そして遊女と通し狂言のなかでその境遇が激しく変転する女性である。この玉三郎の七段目のおかるを観ていると、その数奇な運命が一身に表現されている。由良之助とのじゃらつき、兄平右衛門との遭遇で、愛しい夫勘平の死を知り、絶望する。また由良之助の仇討の本心に気づいたおかるを討とうとする兄と、それを受け入れる妹という兄妹の愛。私の観劇時は花道傍であったので、花道でのアドリブとも聞こえるようなひとり言の台詞が、いつもながら上手いと感じた。

仁左衛門は忠義一途で、また妹思いの奴。由良之助も演じている仁左衛門が演じると、とりわけ家老の由良之助のためを思って動いていることが手に取るように分かる。また玉三郎との永年のコンビは、この兄妹のやり取りも自然で、息がよく合い、笑い、泣かされた。

ほかに、種之助の力弥が清々しい。歌六、歌昇、種太郎の三人侍も含めて、脇は厚い。当分この七段目を越える舞台を観ることは出来ないであろう。

【2010. 12. 30 (木)】 author : 六条亭
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四月南座の坂東玉三郎特別舞踊公演は『将門』と『日本振袖始』!
私が南座顔見世に行った時はまだ前半だったので番附には公演情報のみだった四月の坂東玉三郎特別舞踊公演の演目と配役が正式に歌舞伎美人に掲載されました。こちら

二月博多座に続き、獅童との共演による『将門』にくわえて、『日本振袖始』です!

坂東玉三郎特別舞踊公演
中村獅童出演

平成23年4月3日(日)〜17日(日)

 忍夜恋曲者
一、将門(まさかど)

滝夜叉姫 : 玉三郎
大宅太郎光圀 : 獅 童

二、日本振袖始

岩長姫実は八岐大蛇 : 玉三郎
素盞鳴尊 : 獅 童

なお、三月の南座は沢瀉屋一門による『獨道中五十三驛』(ひとりたびごじゅうさんつぎ)、四月後半はすっかりと定着した第十九回 南座歌舞伎鑑賞教室です。

【2010. 12. 29 (水)】 author : 六条亭
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第二十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居の演目と配役
歌舞伎美人に正式に第二十七回四国こんぴら歌舞伎大芝居の情報が掲載されました。こちら。四国こんぴら歌舞伎大芝居の公式サイトは、こちら

高麗屋に梅玉、芝雀、東蔵が顔を揃えます。演目としては『涌昇水鯉滝』鯉つかみ(こいつかみ)が、昭和48年以来の上演のようで非常に珍しいものです。

第二十七回
四国こんぴら歌舞伎大芝居


平成23年4月9日(土)〜24日(日)

【第一部】(午前11時開演)

一、一谷嫩軍記

 熊谷陣屋

熊谷次郎直実 : 染五郎
相模 : 芝 雀

二、天衣紛上野初花

 河内山

 松江邸広間より玄関先まで

河内山宗俊 : 幸四郎
高木小左衛門 : 東 蔵
松江出雲守 : 梅 玉


【第二部】(午後3時開演)

一、御存 鈴ケ森

幡随院長兵衛 : 幸四郎
白井権八 : 梅 玉

二、藤娘

藤の精 : 芝 雀


三、涌昇水鯉滝

 鯉つかみ

鯉の精/滝窓志賀之助 : 染五郎
小桜姫 : 芝 雀

料金(税込み)

上場席(A席) 13,000円
中場席(B席) 10,000円
並場席(C席) 7,000円

【2010. 12. 29 (水)】 author : 六条亭
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日生劇場十二月大歌舞伎千穐楽で今年の観劇納め
今日は日生劇場十二月大歌舞伎千穐楽でしたので、夜の部を観劇し、今年の観劇納めをしました。

通し狂言『摂州合邦辻』は、菊之助、菊五郎をはじめとする主役たちが役を完全に自分のものとして、完璧に演じ切っていました。菊之助の玉手御前は序幕から大詰まで妖しいまでの美しさで、この至高の愛に殉じる難役を見事に造形していました。梅枝の俊徳丸、右近の浅香姫は、この一月の間に著しい成長を見せていましたから、これからが楽しみな役者になりました。

『達陀』は、一階前方で観たこともあり、力強い足拍子が座席まで伝わり、迫力倍増でした。

今年四月までの歌舞伎座さよなら公演のフィナーレに熱狂し、その後やや醒めた眼で歌舞伎公演を観劇してきました。しかし、豪華極まりない南座顔見世に初遠征し、寅年を締めくくるに相応しい日生劇場の十二月大歌舞伎で観劇納めをできたことは、今年は観劇生活のうえで忘れられない記念すべき年になりました。
【2010. 12. 25 (土)】 author : 六条亭
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ドゥダメル&ベルリン・フィル/ジルヴェスター・コンサートのDVD発売予定!
ベルリン・フィル恒例のジルヴェスター・コンサートは今もっとも熱い指揮者、グスターヴォ・ドゥダメルが登場するにもかかわらず、BS等などでのライブ中継がないので少々ガッカリしていたら、1月早々にドイツ・グラモフォンからいち早くDVDでリリースされるというニュースがすでに出ていた!

ドゥダメル&ベルリン・フィル/ジルヴェスター・コンサート(DVD)

共演は、『カルメン』などでこれまた世界の歌劇場でひっぱりだことエリーナ・ガランチャである!曲目も次のような曲目が予定されている。

・ビゼー:『カルメン』からのアリア
・ベルリオーズ:『ファウストの劫罰』からのアリア
・ベルリオーズ:『ローマの謝肉祭』序曲
・ファリャ:『三角帽子』

情熱と若さ溢れる熱演が期待されるであろう。

なお、これまた恒例のウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート2011も新しいシェフであるフランツ・ヴェルザー=メストによるものが1月中にCD、DVD、ブルー・レイで発売予定である。

ヴェルザー=メスト/ニューイヤー2011

【2010. 12. 23 (木)】 author : 六条亭
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来年三月の国立劇場は仁左衛門の通し狂言『絵本合法衢』を上演!
国立劇場のサイトに早くも平成二十三年年三月の公演予定がアップされている。

通し狂言 絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)

仁左衛門による通し狂言『絵本合法衢』(えほんがっぽうがつじ)四幕十二場である。『絵本合法衢』は通称『立場の太平次』と言って、Kabuki on the Webで検索しても直前の上演が平成四年三月の新橋演舞場とあるから、それ以来十九年ぶりの上演である。孝夫時代の松嶋屋が主役の左枝大学之助と立場の太平次という極悪人を演じている。その時のうんざりお松は、玉三郎が出ている。今回は仁左衛門の出演のみ発表されているが、その他の配役も早く知りたいものである。仇討狂言の白眉とも言われるこの狂言の通し上演は大いに歓迎されるであろう。

それにしても、仁左衛門は二月の松竹座で『彦山権現誓助剱』と『盟三五大切』の通し上演を昼夜にわたって上演するから、仇討狂言を二ヶ月連続で上演することになる。その気力たるや並大抵のことではできないことである。

【2010. 12. 21 (火)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(6) | trackbacks(0) |
ルテアトル銀座 坂東玉三郎特別公演 「元旦特別追加公演」決定!
ル テアトル銀座の坂東玉三郎特別公演は、一般発売日初日で全席完売という人気でしたが、「元旦特別追加公演」の開催が決定しました。最近では元旦特別公演とは珍しいことでしょう。チケットは12月21日(火)午前10時よりチケット松竹(電話・WEB)のみで一斉発売です。チケットを購入できなかった方も再度チャンスありです。

歌舞伎美人ニュースは、こちら

【2010. 12. 20 (月)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(3) | trackbacks(0) |
百万アクセス御礼
いつも拙ブログをご高覧いただき、ありがとうございますm(_ _)m。

拙ブログの右サイドバーにありますご訪問者のカウンターが本日午後6時40分過ぎに百万台の大台を越えました。これも常々拙ブログを定期的にご訪問くださる多くの皆さまのお蔭です。心より厚く御礼申し上げます。残念ながらキリ番ゲットの方は現時点では分かりませんが、お心当たりの方はコメントにても結構ですので、お知らせくださるとありがたいと存じます。

歌舞伎座の閉場にともない、東京での歌舞伎公演も新橋演舞場を拠点にするものの、演目と配役にもう一つ物足りないところもあり、観客の歌舞伎離れが心配されるこの頃でした。しかし、海老蔵丈の怪我と休演がマスコミの大きな話題になり、日頃歌舞伎への関心が薄い方もテレビのワイドショーなどで毎日のように取り上げられるため、良きにつけ悪しきにつけ歌舞伎が再度注目されていることも事実です。とくにルテアトル銀座の初春公演の中止とその代替公演として玉三郎丈が『阿古屋』と『女伊達』を急遽上演する運びとなったニュースが流れた時は、拙ブログも検索エンジンを通じて多数の方々にご覧いただいたようです。またチケットも一般発売初日で即日完売という記録的な売れ行きでした。このように歌舞伎への関心が高まっているなか、拙ブログも少しでもお役に立てる情報と観劇記録をご提供できるよう、微力ながらマイペースで更新を継続してゆきたいと思います。今後とも相変わりませず、よろしくお願いいたします。

なお、平成18年7月にカウンター設置以来のキリ番記録は、次のとおりです。

・  十万アクセス 平成19年5月28日
・ 二十万アクセス 平成20年1月29日
・ 三十万アクセス 平成20年9月7日
・ 四十万アクセス 平成21年2月7日
・ 五十万アクセス 平成21年6月15日
・ 六十万アクセス 平成21年10月15日
・ 七十万アクセス 平成22年2月8日
・ 八十万アクセス 平成22年5月13日
・ 九十万アクセス 平成22年9月3日

JUGEMテーマ:日記・一般

【2010. 12. 19 (日)】 author : 六条亭
| お知らせ | comments(12) | trackbacks(0) |
桜壽博多座大歌舞伎ー九州新幹線全線開業記念
歌舞伎座閉場にともなって東京以外での歌舞伎公演が続くのは、今まで遠方からわざわざ歌舞伎座へお出でになるファンの方々には結構なことでしょう。博多座では二月の坂東玉三郎の公演に続いて、三月にも九州新幹線全線開業記念と銘打って、勘三郎が座頭となっての桜壽博多座大歌舞伎が開催されます。新幹線と歌舞伎の取り合わせも面白いが、演目と配役は繰り返し上演されてきたものがほとんとで、特段目新しいものがないのは少々残念です。

歌舞伎美人は、こちら

九州新幹線全線開業記念
桜壽博多座大歌舞伎

平成23年3月2日(水)〜26日(土)

【昼の部】(午前11時開演)

一、磯異人館

岡野精之介 : 中村 勘太郎
琉璃 : 中村 七之助
岡野周三郎 : 尾上 松 也
加代 : 坂東 新 悟
五代才助 : 市川 猿 弥
ハリソン : 片岡 亀 蔵
松岡十太夫 : 笹野 高 史

二、義経千本桜

 吉野山

佐藤四郎兵衛忠信実は源九郎狐 : 中村 橋之助
逸見藤太 : 片岡 亀 蔵
静御前 : 中村 扇 雀

三、平家女護島

 俊寛

俊寛僧都 : 中村 勘三郎
丹左衛門尉基康 : 中村 勘太郎
海女千鳥 : 中村 七之助
丹波少将成経 : 尾上 松 也
平判官康頼 : 片岡 亀 蔵
瀬尾太郎兼康 : 坂東 彌十郎


【夜の部】(午後4時30分開演)

一、棒しばり

次郎冠者 : 中村 勘太郎
太郎冠者 : 市川 猿 弥
曽根松兵衛 : 片岡 亀 蔵

二、夏祭浪花鑑

  序 幕 第一場 発端よりお鯛茶屋の場
      第二場 住吉鳥居前の場
      第三場 釣船三婦内の場
      第四場 長町裏の場
  二幕目 第一場 九郎兵衛内の場
      第二場  同 屋根の場

団七九郎兵衛 : 中村 勘三郎
一寸徳兵衛 : 中村 橋之助
徳兵衛女房お辰 : 中村 七之助
玉島磯之丞 : 尾上 松 也
傾城琴浦 : 坂東 新 悟
三婦女房おつぎ : 中村 歌女之丞
三河屋義平次 : 笹野 高 史
大鳥佐賀右衞門 : 片岡 亀 蔵
釣船三婦 : 坂東 彌十郎
団七女房お梶 : 中村 扇 雀

料金(税込み)

A席(平場)18,000円
A席(椅子)18,000円
特B席   15,000円
B席   12,000円
C席    5,000円

【2010. 12. 18 (土)】 author : 六条亭
| 歌舞伎 | comments(2) | trackbacks(0) |
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