先月14日に実母が急病で永眠いたしました。享年86歳でした。
母は平成20年の春に認知症のため専門施設であるグループホームへ入居しました。生活環境に慣れるにしたがい、かえって以前より元気を取り戻し、直前まで穏やかで規則正しい生活を送っていました。ですから、まだまだ長生きしてくれると信じていました。夏頃から腎臓の数値が悪化してはいたものの、亡くなる二日前までは普段と変わりなく動いていたそうです。前日急にお腹が痛いとスタッフの方に訴えたので、休日の救急医にかかりました。その結果痛みも治まり、ホームに戻りました。しかし、その夜病状が急変し、14日朝方大学病院へ救急車で運び込まれた時はすでに心肺停止状態でした。
ですので、本当の病名は明らかではありませんが、年齢が年齢ですから内臓が弱っていたものと考えられます。遺された者としてはわずか一日で逝ってしまうとは思いもかけず、14日朝方病院に駆け付けて母に対面するまでは信じられませんでした。
しかし、その悲しみにひたっている間もなく、喪主としてお通夜、告別式を滞りなく済ませるのが精一杯でした。さらに役所の手続き、入居していたホームの片付け、新仏のお守り、四十九日の法要と納骨の準備など遺族としてやるべきことは山積していまして、あっという間に三七日が過ぎてしまったという印象です。
子供としてはあれもしてあげたかった、これもしてあげなくてはいけなかったとの悔いは残らないと言えば嘘になります。しかし、それなりの長寿を全うし、あまり長い期間患いもせず、あの世に旅立ったと思えることはせめてもの慰めです。今や認知症は高齢者が抱える大きな問題です。母の認知症に我々子供がどう向き合っていったかは、追って詳細に書きたいと思います。
私が歌舞伎を、そして舞踊を愛するきっかけを作ってくれたのは母ですから、いくら感謝しても感謝しきれんません。大変迷ったのですが、十一月の顔見世千穐楽夜の部のチケットを確保済みでしたから、母の供養にとも思い予定通り観劇しました。菊之助さんの『京鹿子娘道成寺』は母が観たらさぞや大喜びしたことでしょう。それだけ素晴らしいものでした。
年内は法要・納骨もあり、ブログ更新もまだ十分にはできないと思いますが、今後とも拙ブログをよろしくお願いいたします。ブログ再開のお知らせとともに簡単なご報告です。