昨28日は梅席が取れましたので、急遽平成中村座ファイナルの追加公演を観てきました。
昨年十一月からのロングラン公演、私は四、五月それも僅か二つの公演しか観劇しなかったので、決してよい観客ではありませんでした。しかし、本公演は一昨日が楽日。その追加公演となれば、七ヶ月の全公演の締めくくりのお祭りとなることが予想されましたので、チケットを押さえることができたのを幸いに、期待して出かけました。
結果としてそれまでの公演を観た方には申し訳ないくらい、全部ありで、大満足でした\(^O^)/。
め組の喧嘩の場面では、予想通り(!?)染五郎、七之助、扇雀、国生が鳶、弥十郎が相撲取りで登場し立ち回りを披露しました(もちろん、染五郎と七之助は掛け持ち出演していた新橋演舞場が公演を終えていましたから、出演可能となった訳です)。
カテコでは舞台裏が開いて神輿が入り、舞台一杯にわっしょい、わっしょいと動きます。役者も一緒に賑やかに担ぎ、染五郎などは乗りまくっていました。
梅玉はじめ主だった役者は皆挨拶しました。梅玉、彦三郎、萬次郎はとにかく中村座に出演できて、満足ですと嬉しそうでした。この全公演を支えた橋之助は感極まって言葉が出ませんでした。
勘九郎は七緒八君を抱いてきて事実上の初お目見得をしました(最初は七之助が抱いていました)し、小山三も町家の女房風の拵えをして出て、元気に「中村小山三でございます」と挨拶。染五郎が中村屋に負けないように自分も頑張ります!七之助がたまには立役もやりたいです!と言っていたのがほほえましく、印象的でした。
立師として菊十郎と橘太郎が紹介され、橘太郎が「中村屋の旦那にこのめ組を出して欲しいとお願いしていましたから、実現して嬉しい」と笑顔一杯の挨拶。続いて出演していなかった咲十郎まで引っ張り出されて挨拶したのにはびっくりしました。
舞台関係者の御礼の挨拶の後、本職の鳶の木遣り、冴えた拍子木とともに元関取(元大至?聞きとりにくかったので、正しいかどうか)の相撲甚句も渋いノドを聞かせてくれました。挨拶する役者のなかに弥十郎がいないと思いましたら、元関取と一緒に登場してきたのでした。
梅席のいつも大向こうが座る席に時蔵、獅童がめ組から座り、食い入るように舞台を観ていました。時蔵は大阪松竹座の團菊祭が終わってから、萬太郎の舞台を観るために駆け付けてきたのでしょう。ほかにも気がつかなかった役者さんもいたかもしれません。篠山紀信、福田尚武も写真撮影をしていました。
記録用らしく、カメラが入っていましたが、歌舞伎ファンの方には観てもらいたい贅沢な舞台でした。
喧嘩の場面あたりから時ならぬ俄かの激しい雷雨、帰りがけには雨足も弱まりましたが、日が射してもまだ雨が降り続く不思議な天候でした。でもそのお蔭でしょうか、東京スカイツリーにかすかに虹がかかったのを観ることができました。
浅草駅近くで打ち上げを祝して勝手に乾杯しましたが、平成中村座のロングラン公演にかかわった役者ならびに舞台関係者の皆さま、まことにお疲れさまでした。熱く、素晴らしい舞台を見せてくれたことを心より感謝したいと思います。
座頭の勘三郎の体調が懸念されるなかで始まったこの公演も、勘三郎の復調と勘九郎、七之助兄弟の著しい成長という成果をあげたことは特筆されます。数年後にまたこの浅草に平成中村座が戻ってくることを楽しみに待ちたいと思います。