本5月18日は本HP「六条亭雑記」の満十年目の誕生日です。開設満十年を迎えることができましたことは、これはひとえにご高覧いただいている皆さまのお蔭と心より厚く、厚く御礼申し上げます。
本HP「六条亭雑記」
最近拙ブログはなんとか更新頻度を以前並み程度に戻すことができていますが、他方Twitter投稿も行っていますので、拙HPは本当にごく稀にしか更新できておりません。その点はお詫申し上げます。しかし、ネット上の情報発信の原点はHPでありまして、今後も細々ながら更新を続けたいと思いますので、相変わりませずよろしくお願いいたします。
さて平成15年(2003年)5月に開設したHPが開設満十年を迎えることができたことはいろいろな意味で感慨深いものがあります。以前にも断片的に書きましたが、十年の節目に際してHP開設、当時の私の個人的状況とその後をいささか詳しくまとめてみたいと思います。よろしくお付き合いのほどお願いいたします。
我々団塊の世代は大学紛争に有形無形の何らかの関わりをもって社会人となったと思います。就職というより就社であって、終身雇用を当然と考えて会社に入りました。ちょうど昭和40年代の高度成長の時代に当たっていましたから、とにかく一生懸命働きました。それが会社の業績進展つながり、ひいては給料に跳ね返るという好い循環になっていたと思います。ただ、会社そのものしか知らず、外の世界をあまり知らない井の中の蛙の面があったことは否めません。
会社人生は通常転勤を経てさまざまな職務を経験し、出世の階段を上がってゆくのが順調なコースです。ジェネラリストが尊ばれるゆえんですが、私の場合幸か不幸かある専門分野のプロを目指す道を選びました。そのためか転勤もほとんどなく、その道一筋で来ました。自分の性格上ひとつの世界を極めることが一番似合っていると信じたからでした。これはサラリーマン人生から見ると異端者でしょうね。
50歳を過ぎた辺りから一時体調を崩し、それまで仕事人間できましたから仕事が思うようにできないことは辛いものがありました。それをどうやら乗り切った頃にはご多分に漏れず年齢的に窓際族となり、また会社では業績悪化のためリストラがはじまっていました。多くの優秀な先輩・同期・後輩がやむなく会社を去ってゆきました。しかし、私は自分の不器用さをなにより知っていましたから、60歳前の退職は自分の人生設計にはなく、頑固に会社に残る道を選びました。
その時の自分の判断が正しかったかどうかは分かりません。ただ、リストラに抗って残った人間に仕事はなく、自分で出向先を見付けることがまず当面の職務になりました。当然ながら時間は有り余るほどあり、その時間をどう使うか、が当面の課題でした。
仕事上PCの操作は一通りできましたが、自宅にPCは持っておらず、インターネットとはそれまで無縁の世界にいました。しかしながら、社内にイントラネットがあり、そこに当時個人のページがあって本来の目的は予定表でしたが、日記を書く一群の人びとがいました。当然ながら若い方が多く、当初は躊躇したものの、自分もリハビリの意味もあって書きはじめました。僅か2ヵ月ほどでしたが、PCを通じての交流を体感したよい機会でした。
ですので、時間の使い方としてインターネットに着目し、自宅用のPCを購入しました。そしてその延長戦上で無謀にもHP作成ソフトを使っての個人のHPを立ち上げたのでした。コンテンツとしては、読書レビュー、クラシック音楽のCDレビューをメインに考えていまして、歌舞伎の観劇感想はサブ的な位置付けだったのです。ところが立ち上げ後はそれ逆転しまして、望外なことに観劇感想がお読みいただく方々には評価をいただき、それに刺激されるように観劇回数が増えることになりました。また、玉三郎さんのファンの方々との交流もそれを後押ししていただきました。
気が付いてみれば本HPよりも拙ブログ「六条亭の東屋」 が主で、歌舞伎系ブログとして思いもよらないほど多数の方々お読みいただいております。この十年の間に仕事は二度にわたる出向を経て無事定年退職し、継続して働くつもりでしたが、母親の病気(認知症) をめぐる数多の問題解決に迫られて辞職し、法的後見人としての立場で母親の介護に専念いたしました。それができたのも上記のような経緯はあっても定年による退職だったことにより、企業年金を公的年金とあわせて受給できたことで、生活基盤の心配が少なかったことにあります。
一年半前母親を見送りました。私が歌舞伎と舞踊を愛好するようになったことに大きな影響を与えたのが亡母でありますから、私がこのようなHPやブログを発信していることは生前知りませんでした(というよりもすでに理解できなくなっていました)が、知っていればきっと喜んでもらえたと信じています。
長々と個人的事情を書いてきました。このようなHPとブログを通じて多くの皆さまと交流できましたことをあらためて御礼申し上げるとともに、第五期歌舞伎座新装開場に立ち会えましたことは私の人生のなかでの大きな喜びであることを付記いたします。ありがとうございました。