徒然なる日々の条々を、六条亭が日記風に綴ります。本屋「六条亭雑記」もよろしく。
 
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【2018. 08. 18 (土)】 author : スポンサードリンク
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『鈴ヶ森錦繍雲駕』ー第37回俳優祭に参加して(感想その二)
模擬店や演芸ショーは感想とまではいかないので後回しにさせてもらい、最後の演目『鈴ヶ森錦繍雲駕』(すずがもりにしきのくもかご)についてまとめます。

『鈴ヶ森』は上演頻度は高いので、よく知られている演目でしょう。白井権八が鈴ヶ森を通る際襲ってきた雲助を片付けているたところを通りがかった幡随院長兵衛が江戸での世話を請け負う話です。白井権八が雲助たちと繰り広げる立廻りも見ものの一つになっています。

今回白井権八をちょうど27日当日が9歳の誕生日となる松本金太郎(染五郎の長男)、 長兵衛を六月に左近襲名を控えた藤間大河(松緑の長男)が演じる話題の舞台です。雲助たちに扮する大幹部・幹部たちがあの手この手で襲いかかります。プログラムを見ると雲助のなかにくまモンがいるではありませんか!

『鈴ケ森錦繍雲籠』

幕が開くといつものように薄汚い格好をした雲助たちが屯ろしています。普段は演じていない役者の沢山いて、よ〜く目を凝らさないと誰が誰やら分かりません。もっとも分からなかったのが魁春でした。あの女形がこんな拵えでとイメージが変わります。そこへ花道から雲助和尚が登場します。三津五郎です。昨年の納涼歌舞伎以来の歌舞伎座の舞台で、四月大歌舞伎での正式復帰を前に一足早い復帰です。大変元気そうで、来月から戻って来るので皆さんまたよろしく、と楽屋落ちのセリフにも観客席から惜しみない拍手が続きます。

そこへ飛脚がやって来て雲助達に身ぐるみ剥がされてしまいます。この飛脚は左團次。最近あちらの方面での趣味で有名になったためか、身ぐるみ剥がされた後の格好は……(笑)。テレビ放映の時は大丈夫だろうかと心配するほどの際どさですから、観客からも嬌声が飛びます。

さて金太郎扮する権八が駕籠でやって来ます。駕籠かきは染五郎と松緑です。染五郎は金太郎の衣裳を治すのにも余念がありません。自分が演じるより心配でしょう。金太郎、台詞はまだ幼いのですが、瑞々しい若衆ぶりで絵になります。間違いなく将来の権八役者!

雲助たちが襲い掛かってきても立派に刀を振るい退けます。いつも出る立廻りは次の通り。

右手を斬られるのがお祖父さんの幸四郎。すぐ右手を出して数があわないと言っていました。

リボンを着けている雲助は翫雀。これがキティちゃんをもじっているらしく、キティのクッション(!?)を持ち出して金太郎と立廻り。最後はそのクッションで縄跳びまでするのですが、紐が短くて上手く跳べません。そして右脚を斬られて片足跳びで上手へ引っ込んで行きます。

三津五郎はお尻を斬られます。お尻の型が出てきて三回斬られるのですかね。彦三郎は鼻を斬られる役、彌十郎は首が引っ込んでしまいます。彌十郎との立廻りでは後見に抱え上げられて彌十郎の持つ太い杖を上から斬る型も見せます。

それ以外には梅玉と魁春が二人でヘルメットとトンカチで じゃんけんでのあっち向いてホイ(ご指摘をいただいたので、2日付けで修正します。いろいろな呼び方があるようですが、「たたいて・かぶって・じゃんけんぽん」という呼称が分かり易いでしょうか?)、高麗屋一門の錦吾はハッピーバースデーの音楽とともにケーキを見せての立廻りもあります。

通常より早く花道から駕籠が出て長兵衛が登場、左近が秀調と絡みながら腹巻きを広げると表裏が「六月左近襲名」「おめでとう」の祝幕のようになっていました。それから登場したのがくまモンの雲助!金太郎、大河と三人による立廻りもくまモンも呆気なく転がされてしまいます。

大河は一旦駕籠へ戻り、金太郎が墓標の後ろへ廻ると代わりに左團次登場。そして上手と下手の草むらから夜鷹の水谷八重子と波乃久里子が…。そして二人がそれぞれ手を引いて現れたのが関取と野球選手。最初は誰だか分からなかったのですが、関取は遠藤を真似た吉右衛門、野球選手はヤンキースのユニフォームを着たマー君を真似た菊五郎でした!二人とも本物とは似ても似つかないのですが、菊五郎は堂々とピッチングフォームを見せるのに対して、吉右衛門は舞台袖で鉄砲を繰り返す姿はどこか恥ずかしそうです。

五人を追い払った権八は亀蔵を切り倒した後、長兵衛の提灯で刀を確かめる。それからはほぼ通常の『鈴ヶ森』の有名な台詞となります。大河の台詞は非常にはっきりとしていて癖もなく、べらんめえ調もなかなか聞かせます。小さい大親分ですね。二人とも幕切れの見得も決まっていました。

盛大な拍手でカーテンコールがありました。もちろんくまモンもいます。役者たちによる手拭い撒きがありました。その際染五郎が投げたらしき手拭いが花外上の二階の提灯に当たり、提灯が落ちるという珍しいハプニングがありました。

私は誰が投げたか覚えていないのですが、幸いにして手拭いをいただきました!鈴ヶ森をあしらった洒落たデザインです。



なお、この俳優祭は5月31日(土)14時~ Eテレで放送予定とのことですから、残念ながら歌舞伎座へ足を運べなかった方もあまり期間を置かずお楽しみいただけるようです。
【2014. 03. 30 (日)】 author : 六条亭
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『六歌仙容彩』『楠公』ー第37回俳優祭に参加して(感想その一)
さる27日(木)に日本俳優協会が主催する第37回俳優祭に参加してきました。新装開場後初の歌舞伎座での俳優祭です。予約は電話のみですから、電話がつながらずチケットがなかなか簡単に取れないことでも知られています。しかし、今回は幸いにして発売開始後約160分でつながり、自力でチケットを確保できました。昼の部は三階席下手寄り、夜の部は一階席花外で観劇できました。

第37回俳優祭



演目の最初は舞踊二題です。普段の歌舞伎公演では上演されないものを豪華な出演者で華やかに見せようという趣向ですし、若手の勉強会の意味合いもあるでしょう。とりわけ今回は若手が主体となって企画したと聞いていますから、大幹部と若手による組み合わせでの『六歌仙容彩』が目を引きます。

『六歌仙容彩』(ろっかせんすがたのいろどり)

「遍照」(遍照)尾上松緑 (小町)中村芝雀
「文屋」(文屋)中村勘九郎
「業平」(業平)尾上菊之助 (小町)中村七之助
「喜撰」(喜撰)市川染五郎 (お梶)中村時蔵
「黒主」(黒主)市川海老蔵 (小町)坂東玉三郎

六歌仙のなかの紅一点小野小町に言い寄る五人の男達との時代と世話の色模様です。通常は五人の男を一人の役者が踊り、演じ分けるのですから、みどり狂言が多い舞台ではなかなかかかりません。近年では幸いにして21年8月の納涼歌舞伎で三津五郎が演じてくれましたので、観ることが出来ました。さすが三津五郎、様式を踏まえながらも軽妙・洒脱・重厚さを見事に演じ分けていました。

今回は五人の男に花形五人、小町は七之助は別格とすると芝雀、時蔵、玉三郎のヴェテランが絡みます。

松緑の遍照は年齢的にもまだ小町に言い寄る高僧役には力不足でした。芝雀は短い場面ながら品のある美しさで手強く遍照を拒絶。勘九郎の文屋は軽妙でありながら、キレのある所作で立役が扮する官女たちと楽しい踊りを披露していました。

菊之助・七之助の業平・小町コンビは登場しただけでため息の出るような美男美女。優雅な恋模様もこれまた小町の拒絶にあい 、業平はそれでも悠々と花道を引っ込みます。

喜撰は喜撰とお梶(小町)の絡みの部分のみ見せます。染五郎の喜撰法師が色好みの高僧にしては表情に翳りがあるので華がないうえ、首の周りが貧相な感じです。ですから、お梶との色模様が一向に弾みません。時蔵は何回も踊っていますので、安心していられるのですが、どうも二人がバラバラという印象でした。

黒主は海老蔵の黒主と玉三郎の小町というめったに観ることができないものでしょう。草紙洗いの後黒主が見顕して花四天と絡んで、見得で決まります。十数分の短い踊りですが、海老蔵の公家悪の大きさと玉三郎の凛とした小町の美しさを味わうことができました。

『楠公』

立役31人による素踊りの群舞です。ご承知のように鬘や衣裳をつけた舞踊と異なって紋付袴姿で扇一つの素踊りは踊り手の肉体がそのままさらされて、力量の差がもろに見えてしまいますから、非常に難しいと言えます。

前半は楠正成の子別れです。橋之助、錦之助、宜生の三人による踊りは簡素ななかにも親子の別れの哀しみの情がよく伝わってきます。 宜生がずい分と大きくなっていて見違えました。

後半は湊川合戦です。前方の小セリからは歌昇を真ん中にして巳之助と萬太郎がせり上がってきます。彼らが若手の牽引者の立場であることを印象付けます。今回の出演者は主として大幹部と花形世代の間の世代と花形第二世代のとでもいうべき二十代の若手が中心ですが、若手の充実ぶりには目を見張ります。もちろん、踊りの技量のレベルはまちまちなのですが、群舞として多人数が舞台一杯を使って力を合わせながら踊っているので、迫力がありました。また、千之助、玉太郎と一生懸命に踊っている團子が健気でした。又五郎と橋之助の一騎打ちはさすがに総大将の貫目があり、舞台を大きく感じさせました。

ここで幕間の模擬店になるのですが、その前に中村梅玉理事の司会で日本俳優協会の坂田藤十郎会長、尾上菊五郎理事長、中村吉右衛門専務理事三人のご挨拶がありました。俳優祭の収益金は東日本大震災の支援ならびに俳優協会。俳優祭の会員の福利厚生(医療費も)に使わせていただきます、との菊五郎の言葉が印象的でした。



(3日補記)『楠公』の部分に若干手を加えました。
【2014. 03. 30 (日)】 author : 六条亭
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第37回俳優祭に…
27日(木)に歌舞伎座で開催される第37回俳優祭に参加いたします。観劇ももちろんあるのですが、模擬店はお祭りを役者さんとともに楽しみますので、あえて参加と書きました。

第37回俳優祭

俳優祭はチケットを入手するのは困難にもかかわらず、幸いにして第33回より連続して参加しております。観劇のお仲間にとっていただいたケースもありますが、不思議と自力で電話予約できることもありました。今回も強運があったのか、念が通じたのか(笑) 、発売日に電話をかけ続けた結果自力で確保できました!

当日の様子は拙ブログならびにTwitterでつぶやく予定です(昼夜ともに参加することはナイショの話しです^^;)。
【2014. 03. 24 (月)】 author : 六条亭
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Xperia tablet Zを使って満一年
明日3月22日でタブレットを使い始めてから満一年が経ちます。使用開始後の途中経過の報告はこのブログでもいくつか記事として書きました。

当初はいわゆるガラケーとはまったく操作感覚・方法が違いますので、慣れるまではあーでもないこーでもない、といろいろといじくり回していました。とにかく自分の思うように動いてくれないこと、また自分の意図とは異なる動きをすることが頻発して、大いに難渋しました。

しかし、習うより慣れろでして、なんと言いますか操作の勘所が分かってきますと何事もスムーズに動いてくれるようになりました。今ではネット閲覧(検索、チケット購入やショッピング等を含む)、メールの送受信、Twitterの投稿・TLのチェック、ブログの更新、電子書籍の閲覧、音楽プレイヤー、写真の撮影と画像管理等々タブレットなしでは一日の生活が成り立たなくなりました。

自宅のPCもいちいちネット接続する手間もあることから(今時ADSLでもあり)、最近はPCを立ち上げる機会も激減しました。さすがにExcelなどを使う時はPCでないと無理ですが、Wordなどはクラウド上のドライブと連携して文書ファイルの修正程度は簡単にできます。購入を検討していた時はそこまで考えておらず、いい意味での誤算でした。昨今PCとタブレットとの融合が進んだ背景にはこのような進化があると思われます。

もちろん、タブレットも良い点ばかりではありません。タッチ入力は私の不慣れもあるでしょうが、必ずしも正確かつ効率よくはできません。また、アプリによってはしばしば指摘されていますようにバッググラウンドで動作することにより予想外に電池を食うものもありますから、常に電池を気にしていなくてはなりません。さらには動画はほとんど使いませんでしたが、使う場合には電池およびSDカードの容量は不安です。

しかし、電池そのものの性能は使用頻度が高いにもかかわらず、幸い一年経過した今でも良好な状態です。二年契約の縛りはあっても後継機種がようやく発表された段階ですから、当分このXperiaのタブレットを使い続けるつもりです。国産メーカーを応援する意味からもです。
【2014. 03. 21 (金)】 author : 六条亭
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六月南座坂東玉三郎特別舞踊公演
今年六月の南座坂東玉三郎特別舞踊公演は、前半と後半に分かれて行われます。歌舞伎美人は、こちら。

「坂東玉三郎特別舞踊公演」
組踊と琉球舞踊

第一部
  新作組踊『聞得大君誕生』(ちふぃじんたんじょう)

第二部
  創作舞踊『蓬莱島』(ほうらいぬしま)

日時
2014年6月5日(木)〜11日(水)
14:00開演
※6日(金)のみ18:00開演

「坂東玉三郎特別舞踊公演」
地唄三題

一、『鉤簾の戸』(こすのと)

二、『黒 髪』(くろかみ)

三、『鐘ヶ岬』(かねがみさき)

日時
2014年6月15日(日)〜21日(土)
14:00開演
※20日(金)のみ18:00開演


【2014. 03. 16 (日)】 author : 六条亭
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三月の観劇予定
昨日から暦では三月になりましたが、真冬並みの寒い日々が続いています。

現時点での三月の観劇予定は次の通りです。その他に随時歌舞伎座の一幕見に通うつもりです。

・二日(日) 鳳凰祭三月大歌舞伎初日昼夜通し
・六日(木) 国立劇場 三月歌舞伎公演
・二十六日(水)鳳凰祭三月大歌舞伎千穐楽夜の部
【2014. 03. 02 (日)】 author : 六条亭
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